2019年6月25日(火)

オーストリア下院選、「反難民」の国民党が第1党
広がる反難民 極右、政権入りの可能性

2017/10/16 5:00 (2017/10/16 11:21更新)
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【ウィーン=石川潤】オーストリア下院選挙は15日、開票を終えた。暫定結果では、難民の流入阻止を掲げた中道右派の国民党が第1党となり、極右の自由党が第2党に躍進した。今後、両党が連立政権を組む可能性がある。2015年の難民の大量流入をきっかけにしたポピュリズム(大衆迎合主義)の勢いは衰えず、オーストリアでも右傾化が鮮明になった。

選挙管理委員会の暫定結果によると、得票率は国民党が31.4%でトップ。2位が自由党の27.4%、3位がケルン首相率いる社会民主党の26.7%。2位と3位の差はわずかで、今後開く郵送による投票によって逆転する可能性がある。

「この国を変えるために全力で闘う」。国民党を率いる31歳のクルツ党首は15日夜、集まった支持者を前にこう宣言した。選挙中は「難民支援の非政府組織はカオス(混沌)を生んでいるだけ」「誰を受け入れるかは違法業者ではなく、我々が決める」などと発言。極右のお株を奪うような反難民の姿勢を示し、低迷していた国民党への支持率を一気に高めた。

端正な顔立ちでカリスマ的な人気を誇る。公共放送ORFの調査によると、国民党に投票した人の多くが「党首の魅力」を理由に挙げた。今回の勝利で次期首相の最有力候補になった。

極右の自由党は国民党の右傾化で支持の一部を奪われたが、それでも戦後最高だった1999年とほぼ同じ得票率を確保した。難民をゼロか、出国者の方が多いマイナスにすると繰り返し主張し、メルケル独首相の寛容な難民政策は「犯罪的だ」と切り捨てた。

国民党と自由党の得票率を合わせると5割を大きく上回る。オーストリア国民は難民のこれ以上の受け入れにノーを突きつけたといえる。

ケルン首相が率いる社会民主党は第2党以下に転落した。ただ国民党との差は事前の世論調査ほどには開かず、右傾化への警戒感が追い上げにつながった可能性がある。

今後の焦点は連立交渉に移る。これまでは社民党と国民党の大連立政権で、両党の対立から選挙の前倒しに踏み切ったという経緯がある。反難民などで共通点が多い国民党と自由党の連立が有力との見方があるが、大連立の継続などの選択肢もなお残っている。

国民党と自由党は2000年代にも連立政権を組んだことがある。仮に再び自由党が政権入りすれば、独仏などとの対立が強まり、強権的な手法で知られるハンガリーのオルバン首相らに接近するとの指摘もある。独仏を中心とした欧州統合の強化の動きにもブレーキが掛かりかねない。

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