米、相次ぐセクハラ告発 大物プロデューサー追放
ミレニアル世代、女性の権利に敏感

2017/10/15 23:30
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女性の社会進出が進む米国でも、なお「ボーイズ・クラブ」とやゆされる男性優位の風潮が根強く残るハリウッドの映画業界やシリコンバレーのネット企業などで、女性たちによるセクハラ被害の告発が増えている。背景には、幼少時からダイバーシティー(多様性)を重んじる環境に親しんだ「ミレニアル世代」の台頭がある。

米映画芸術科学アカデミーは14日、映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタイン氏(65)の会員資格を剥奪すると決めた。ハリウッド映画界からの事実上の「追放」を意味する。

ワインスタイン氏は「グッド・ウィル・ハンティング(旅立ち)」や「恋におちたシェイクスピア」など数多くのヒット作を手掛けたハリウッドを代表する大物プロデューサーだ。

米ニューヨーク・タイムズは、同氏が過去30年間、女優や部下の女性らにセクハラ行為をした疑いを報じていた。グウィネス・パルトロウさんやアンジェリーナ・ジョリーさんら有名女優も被害体験を告白した。

「子供だった。体が硬直した」。パルトロウさんは22歳の駆け出し時代に受けたセクハラ体験を明かし、ワインスタイン氏から他言したことを叱責する電話を受けて「仕事をクビになると思った」と、恐怖心を振り返った。彼女のような大女優が、高い地位の男性からの圧力におびえた過去を素直に認めたことが、多くの女性に「泣き寝入りはやめよう」という機運を生んだ。

ハリウッドの騒動は、シリコンバレーにも飛び火した。米アマゾン・ドット・コムは12日、子会社アマゾン・スタジオのトップ、ロイ・プライス氏を休職扱いにした。部下のプロデューサーがセクハラ被害を訴え出たからだ。

さらに12日、別の女優がツイッターを通じて、ワインスタイン氏によるセクハラ被害を訴えたが、ツイッターが彼女のアカウントを「その中に個人情報がある」との理由で一時使用停止にした。すると、ネット上でツイッターの対応を批判する書き込みが殺到。会社側は理由説明に追われた。ソーシャルメディアに通じた「ミレニアル世代」では、ネット上の抗議活動も瞬く間に拡散する。

ワインスタイン氏が民主党の高額献金者であったため、非難の矛先は民主党の大物政治家にも向かった。ヒラリー・クリントン元国務長官は避暑地の別荘を隣に借りるほど同氏と親しく、オバマ前大統領の長女は同氏の映画会社でインターンを経験した。クリントン、オバマ両氏はワインスタイン氏を非難するコメントを出したものの、初報から5日後だったために「対応が遅い」と批判を浴びた。

1980年以降に生まれた米国ミレニアル世代にとって、「多様性」は慣れ親しんだ価値観だ。性別やLGBT(性的少数者)、少数民族であることは差別を正当化する理由になりえない。

過去のセクハラ発言が発覚したトランプ氏の大統領就任を受けて、米国では女性の地位向上を求める機運が高まり、セクハラ告発が増えたとの見方もある。ニューヨーク・タイムズ紙など報道機関は、被害女性の声を拾うことで、別の被害者が声を上げやすくなる環境作りに力を入れ始めた。(ニューヨーク=清水石珠実)

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