2017年12月14日(木)

印タタ財閥、不採算の携帯事業売却
新会長就任8カ月で大なた 構造転換へ第1弾

南西ア・オセアニア
2017/10/13 19:24
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 インド最大財閥タタ・グループは、苦戦する消費者向け携帯電話事業を携帯通信最大手バルティ・エアテルに実質的に売却することを決めた。グループ内の混乱の後に8カ月前に就任したナタラジャン・チャンドラセカラン会長が大なたを振るう構造改革の第1弾となる。ほかにも自動車など不振部門があり、通信事業の縮小を皮切りにどこまで構造改革を進められるか注目される。

チャンドラセカラン会長は9月、タタ製鉄の欧州事業再編を発表した(ムンバイ)

チャンドラセカラン会長は9月、タタ製鉄の欧州事業再編を発表した(ムンバイ)

 「タタ・グループと利害関係者にとって最善の結果だ」。タタ・グループのチャンドラセカラン会長は12日、バルティへの携帯事業売却に関する声明でこう述べた。

 バルティに事業統合するのはタタ・テレサービシズ(TTSL)とタタ・テレサービシズ・マハラシュトラ(TTML)の2社の消費者向け携帯事業。TTSLの2017年3月期の連結最終損益は212億ルピー(約360億円)の黒字だが、特別利益が押し上げており、実態は赤字だ。

 チャンドラセカラン氏は携帯事業についてグループの「最大の問題の一つ」と認め、最近、地元紙のインタビューで「事業を売却するか、撤退するかしかない」と述べていた。携帯業界の競争が激しくなるなか、タタのシェアは4%と8位にとどまり、単独での生き残りは難しいと判断した。

 バルティが実質的にタタの事業を吸収する。取得額などは明らかにしていない。タタ側の債務はバルティに引き継がず、現金の支払いもない。

 チャンドラセカラン氏は2月、中興の祖ラタン・タタ氏の後任を巡る人事のごたごたを解消する形で、IT(情報技術)サービス大手の中核会社タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)最高経営責任者(CEO)から会長に就任した。

 その際、グループの収益構造改革に取り組む考えを強調していた。携帯事業は懸案の一つで、NTTドコモとの提携解消を巡る紛争が4月に法廷で決着したことで売却が可能になった。

 事業統合を発表した翌13日の株価は、バルティが前日比8%高、タタ子会社が同10%高で終えた。タタはTTSLとTTMLが持つ通信関連の企業向けサービスやインターネット、固定電話などの事業を傘下の別会社と統合する検討も始めた。

 タタの傘下で、業績が振るわないのは携帯事業だけではない。

 最終赤字に苦しむタタ製鉄は07年に買収した旧英蘭コーラスの欧州事業が足かせとなっていた。今年9月に独ティッセン・クルップとの事業統合で合意、収益改善に一定のメドをつけた。前の体制で道筋がついていたものだった。タタ製鉄のインド事業は堅調で、欧州事業が改善すれば赤字の解消も見えてくる。

 自動車部門も課題が残る。タタ自動車は傘下の英高級車ジャガー・ランドローバー(JLR)が好調なため連結では利益が出ているが、主にインド市場向けの「タタ」ブランドの乗用車は振るわず、単独では赤字だ。

 タタ自のギュンター・ブチェック最高経営責任者(CEO)は8月、今後2~3年は毎年400億ルピー(約680億円)を投資して国内事業をテコ入れする考えを示した。新車種の投入や車の品質向上、コスト削減などにも取り組むとみられる。

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