独バイエル、農薬・種子事業の一部を7800億円で売却

2017/10/13 23:00
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 【フランクフルト=深尾幸生】医薬・農薬大手の独バイエルは13日、欧州化学最大手の独BASFに農薬・種子事業の一部を59億ユーロ(約7800億円)で売却すると発表した。バイエルは種子大手の米モンサントの買収で合意しているが、独占禁止当局による承認が遅れている。同事業の売上高の約13%を切り離し、独占が進むとの懸念を払拭する狙いだ。

 売却するのは13億ユーロの売り上げに相当する除草剤や、インドと南米を除く綿種子、北米・欧州の菜種・大豆などの事業。関連する研究開発部門も含む1800人がBASFに移る。バイエルが2018年初めとしているモンサント買収の完了を前提に、18年3月までに手続きを終える。

 バイエルは16年9月にモンサントを約660億ドル(約7兆4千億円)で買収することで合意していた。遺伝子組み換え種子最大手のモンサントを買収して農業事業を強化しようとしているバイエルが、なぜその事業の一部を売却するのか。背景には思うように進まない買収手続きがある。

 バイエルのヴェルナー・バウマン社長は13日の声明で「規制当局の潜在的な懸念を払拭するため自ら行動して、モンサントの買収を成功させる」とコメントした。

 バイエルは当初、17年中の買収完了を目指していた。しかし8月、欧州連合(EU)が本格的な調査を始めた。これを受け、バイエルは9月、スケジュールが18年にずれ込むことを公表した。

 農薬・種子業界では大型のM&A(合併・買収)が相次いでいる。米ダウ・ケミカルと米デュポンが統合し9月にダウ・デュポンが誕生。スイスのシンジェンタは6月に中国化工集団(ケムチャイナ)の傘下に入った。

 寡占が進んでおり、EUなどの当局は競争が阻害されることを懸念している。バイエルによるモンサントの買収が決まれば「ビッグ3」に集約され、農薬・種子価格の買い手である農家が不利益を被る恐れがあるからだ。バイエルは今回の事業切り離しで承認を一気に前進させたい考えだ。

 玉突き的に発生した今回の再編には、BASFにも利点がある。バイエルの農薬種子事業の16年の売上高は99億ユーロに対し、BASFの同事業は56億ユーロ。バイエルから買収する一部事業を単純合算すると69億ユーロとなる。BASFのクルト・ボック社長は「BASFのポートフォリオの柱である健全な農薬事業を強化できる」と述べた。

 BASFの同事業をめぐってはバイエルによる買収が決まる前のモンサントが買収を試みていた経緯がある。BASFは単独路線を選んだが、「ビッグ3」の誕生で、どう対抗するのかが課題に浮上してきた。バイエルの事業買収で第4極として存在感を高めたい考えだ。

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