トランプ氏、ユダヤ系への配慮鮮明 米がユネスコ脱退
外交成果への道筋は不透明

2017/10/13 22:00
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 【ワシントン=鳳山太成】トランプ米政権は国連教育科学文化機関(ユネスコ)が反イスラエル的だなどとして同機関からの脱退を決めた。イスラエルも脱退で歩調を合わせた。エルサレムへの米大使館の移転表明などトランプ大統領のイスラエル寄りの言動はかねてあったが、今回の脱退で親ユダヤ系の姿勢はさらに鮮明になった。ただ、こうした姿勢が中東和平交渉など具体的な外交成果につながるかどうかは不透明だ。

 米国とユネスコの折り合いはかねて悪い。米は1984年にユネスコの「政治的偏向」や「放漫運営」を理由に脱退。2003年に復帰したものの、11年のパレスチナ加盟承認時は分担金の拠出を止めた。拠出停止は続き、今回の米脱退でユネスコの運営が急変するわけではない。国際社会は「反イスラエル」を糾弾し、200カ国近くが入る組織の脱退を決めたことにトランプ外交の立ち位置をみる。

 「ユダヤ人やイスラエルと一緒にいることを誇りに思う」。トランプ氏は9月半ば、聖職者らに電話しユダヤ教の新年を祝う言葉をかけた。そのうえで「我々の政権はイスラエルに対する不公正で偏った報告書を引っ込めるよう国連に圧力をかけてきた」と述べ、イスラエルのために重ねてきた実績をアピールした。

 トランプ氏のイスラエル寄りの姿勢は大統領就任前後から一貫する。5月にはユダヤ教の聖地「嘆きの壁」を現職の米大統領として初めて訪れ、キッパと呼ぶユダヤ教徒の丸帽子をかぶり壁に手をついて祈りをささげた。昨年の大統領選に当選した翌日には、外国首脳としてイスラエルのネタニヤフ首相と真っ先に電話協議した。

 政権要職にはユダヤ系が多い。重用する娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問は正統派ユダヤ教徒で、娘のイバンカ氏は結婚時にユダヤ教に改宗した。コーン国家経済会議(NEC)議長やムニューシン財務長官もユダヤ系だ。米国ではもともと、金融や経済の分野でユダヤ系米国人が指導的立場を多く占める。トランプ政権の要職が人種や宗教面から偏っているとはいえない。

 ただ、トランプ氏のユダヤ系への際立つ配慮は、奔放な発言と相まって内外に波紋を広げやすい。ネタニヤフ氏と親しいクシュナー氏に中東和平問題を担当させたが、パレスチナとの和平交渉の糸口は見つからない。イスラエルが首都と呼ぶエルサレムへのテルアビブからの米大使館移転も具体的な動きは進まない。

 トランプ氏が8月に白人至上主義者を擁護したような発言をした際は、人種差別を容認しかねない発言だとしてコーン氏がNEC議長の辞任に傾いたと米メディアが報じ、その後も両氏のぎくしゃくぶりは続いた。

 イスラエルとパレスチナの対立を核とする中東和平問題はユダヤ系にもっとも密接に絡む課題だ。一方でイランやイスラム過激派という「共通の敵」を前に、サウジアラビアなどアラブ諸国とイスラエルには関係改善の兆しもある。トランプ氏のユダヤ系への傾斜は中東情勢にどう影響するのか。先が読みにくい変数が加わる。

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