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法村友井バレエ団80周年 創立時の魂 再現へ舞う(もっと関西)
カルチャー

2017/10/13 17:00
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 1937年設立の法村友井バレエ団(大阪市天王寺区)が15日、創立80周年公演で、創立者の法村康之と友井唯起子によるオリジナル作品「赤き死の舞踏」をフェスティバルホール(同北区)でリメーク上演する。創立時はオリジナルを多く創作していたが、現在は古典が中心。古典で培った技と創立者の遺産が融合する舞台になりそうだ。

「赤き死の舞踏」の稽古をする法村珠里(右)と法村圭緒
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「赤き死の舞踏」の稽古をする法村珠里(右)と法村圭緒

 56年に初演した「赤き死の舞踏」は、エドガー・アラン・ポーの恐怖小説「赤き死の仮面」を題材にしている。赤死病という全身から血を流して死に至る疫病が流行するなか、領主プロスペロ公は健康な騎士や貴婦人を引き連れて城に立てこもる。疫病におびえる領民を閉め出して供宴にふけっていたところ、謎めいた仮面の人物(赤死病)が現れ、公をはじめ城内の人々は次々と死に倒れる。

■「恐ろしさ衝撃」

 初演時は、プロスペロ公を法村康之、仮面の人物を赤死病の精として友井唯起子が演じた。現団長の法村牧緒は「豪華な装置と結末の恐ろしさが衝撃で、一番印象に残っている作品」と振り返る。初演時の映像記録は残っておらず、どのような振り付けだったのかは不明だが、当時の楽譜や写真、舞台装置のデザイン画などを頼りに、振付家の篠原聖一が振り付けた。

 音楽は外交官で作曲家の戸田邦雄が手掛けた。「白鳥の湖」3幕の各国の踊りのように異国情緒が感じられるパートや、死の精をイメージしたミステリアスな曲などがあり、篠原は「古典バレエの様式が含まれていて、バレエ作品として振り付けをつくりやすい。振付家とよく協議しながら作曲したのだろう」と話す。近年はオリジナル作品をつくる場合も音楽は既存の作品を引用するケースが多く、作曲から依頼するのは珍しい。初演時の力の入れようがうかがえる。

 原作では恐怖におびえる民衆をよそに享楽にふける貴族たちの様子に焦点を当てるが、「赤き死の舞踏」では貴族と民衆の対立をより際立たせた演出になっている。篠原は「すべての人に平等に死が訪れるというテーマは病気だけでなく、化学兵器や戦争にも通じる。いろいろなものを内包した作品で、根底にヒューマニズムが感じられる」と分析する。

祖父母と同じ役

 10月上旬、大阪市天王寺区の法村友井バレエ団の稽古場を訪ねた。61年前に祖父母が踊った役に挑むのは法村圭緒・珠里の兄妹。クライマックスでは、ドラマチックな音楽に乗せて、仮面を着けた赤死病の精(珠里)がプロスペロ公(圭緒)に襲いかかる。古典バレエで見せる優雅でかれんな様子とはまるで異なる、緊迫感のある踊りだ。

1956年に上演した「赤き死の舞踏」
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1956年に上演した「赤き死の舞踏」

 「死の精はこれまで踊った中でも一番恐ろしい役。ドラマ性のある役を得意としていた友井先生が踊った役を精いっぱい務めたい」と珠里は話す。唯起子が亡くなった数カ月後に生まれ、「生まれ変わり」と言われるほど似ているという珠里の踊りにも注目だ。圭緒は「写真を見ただけで当時のエネルギーが感じられる。振り付けは違っても、その魂は再現したい」と力を込める。

 今作の上演について、牧緒は「クラシックを基礎として新たに創作した作品。今後も再演し、バレエ団の歴史に残る作品にしたい」と意気込む。記念公演ではほかに、ロシアバレエの古典で同バレエ団でも度々上演している「騎兵隊の休息」と、スメタナ作曲の「モルダウ」に圭緒が振り付けた新作「未来へ」を上演する。過去から未来へとつなぐ、バレエ団の様々な側面を見せる構成だ。

(大阪・文化担当 小国由美子)

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