2017年12月16日(土)

うめきた2期、街開き遅れのワケ 1期地区からは三井住友信託銀撤退

関西
2017/10/13 6:00
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 大阪駅北側の貨物駅跡「うめきた」2期地区(16ヘクタール)再開発で、大阪市が2024年夏の街開きを目指すことになった。東京の六本木ヒルズや東京ミッドタウンと肩を並べる大規模再開発だが、目標だった23年春より1年以上遅れる。うめきた1期のような競争環境をつくれるのかも不透明だ。

うめきた2期地区の再開発事業に何社が手を上げるか(大阪市北区)

 大阪市の吉村洋文市長は8月、事業コンペの説明会を9月に開き、再開発事業者を決める事業コンペ(提案競技)の募集要領を12月ごろに公表すると説明した。従来は3月の公表予定だった。2期地区で同時に進めるJR東海道線支線を地下化する連続立体交差事業との調整で工事が遅れる点を理由に挙げた。

 ただ、理由はそう単純ではなさそうだ。20年の東京五輪などを控えて首都圏では大規模再開発が相次ぎ、うめきた2期と時期がダブる大型案件も多い。「デベロッパーは大阪への投資意欲が弱くならざるをえない。大阪市や市の依頼を受けて事業コンペを実施する都市再生機構が東京の状況を見て、早期のコンペ実施をためらう向きもある」と関係者は指摘する。

 2期コンペで提案できるのは14年の1次コンペで当選した20グループの構成企業、または20グループに新たに参加する企業。1期の開発を手掛けた三菱地所やオリックス不動産、阪急電鉄といったグループの一部は「早くコンペを始めてほしい」と意欲的だが、全体でみると事業者に1期のような意欲は感じられない。1期で落選した三井不動産、森トラストは2期の1次コンペに参加しなかった。

 2期は地区の中央に4.5ヘクタールの広い公園を設け、ライフデザイン産業の創出に活用する。だが1次コンペに当選した20グループでも、ライフデザインのコンセプトについて「具体性がなく、どのような提案を求めているのかあいまい」と戸惑う企業もある。「公園運営で収益を上げてもいいとのことだが事業性に乏しい」と別の当選企業は語る。

 大阪の中之島で先端医療拠点の整備構想が進むなか、機能分担についてどう整理するのか。1期では4~5グループが開発案を競ったが、同様な競争状態を作り出すのは容易でない。

 大阪府・市、関西経済連合会、大阪商工会議所などの6団体は2期地区に構築する新産業創出拠点を企画立案する産学の推進協議会を設立したが、コンペで選出される開発事業者とどう協調するのか。船頭が多くなりすぎないようにすることも課題になる。

 一方、東側の1期地区で目玉として13年開業した大型複合施設「グランフロント大阪」の開発事業では、12社あったグループが11社に減った。三井住友信託銀行が「共有持ち分」を関西電力グループの関電不動産開発(大阪市)へ売却したためだ。同施設開業後の撤退は初めて。同行は「撤退は事実だが、売却額や理由は言えない」としている。

 6000億円とされる投資で建設されたグランフロント大阪では、投資額に見合う収益が当初見込みより減る「減損損失」が発生した企業が多い。一方、開業当初の入居率が2割程度だったオフィススペースは満室になった。参加企業には「今が売り時と判断したのでは」とみる向きが多い。主要企業の1社は「撤退は三井住友信託銀行だけとは限らない」とみる。

 関西では1期に比べ2期事業の勢いが衰えがちだ。関西国際空港や神戸市のポートアイランド、大阪市の咲洲コスモスクエアが代表例。うめきたが同じ轍(てつ)を踏まないよう競争環境を維持する施策と明確なコンセプトが求められる。

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