古物営業の規制緩和議論へ 警察庁が有識者会議
警察庁は12日、中古品などを売買する「古物営業」の許可手続きや営業場所の規制緩和について検討する有識者会議を設置すると発表した。現在は営業所がある都道府県ごとに公安委員会の許可を受ける必要があり、全国展開する事業者などが規制緩和を求めている。12月までに会合を3回開き、報告書をまとめる。
有識者会議は経済学や行政法の専門家のほか、業界団体や消費者団体の代表らが加わる。警察庁は報告書を踏まえ、古物営業法の改正など必要な対応を検討する。
盗品の売買に悪用されるのを防ぐため、古物営業法は古物を扱う営業所を設ける場合、都道府県公安委員会の許可を受けるよう定めている。
ただ、全国展開する中古品販売店や買い替え時に「下取り」を行う大手家電量販店などが、複数の都道府県で許可を受けるケースが増えている。申請から許可までは約1カ月かかるといい、全国共通の許可などを求める意見が出ていた。
また、古物の買い取りは営業所や取引相手の居住地でしか認められておらず、マンションのエントランスや百貨店のイベント会場などでも認めてほしいという声が上がっていた。
こうした要望は内閣府の「規制改革ホットライン」に寄せられたが、警察庁は2014年、的確な実態把握と指導・監督が必要との理由で「対応は困難」と回答。営業場所の規制緩和についても、取引相手の本人確認の義務を果たすため「認められない」としていた。
政府の規制改革推進会議が今年3月、各省庁に行政手続きに関するコストの削減を要求したことなどを受け、警察庁は改めて検討することにした。
警察庁によると、古物商の許可件数は16年末時点で77万4157件で、06年末(64万1252件)から2割増えた。主に扱う古物はカーナビを含む「自動車」が最多の42%。家具やCD、ゲームソフトなどの「道具類」が11%、家電や携帯電話などの「機械工具類」が10%だった。