2018年4月21日(土)

東北大、全方向からの音再現 VR向け用途想定

コラム(ビジネス)
科学&新技術
2017/10/12 6:30
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 東北大学の坂本修一准教授らはその場にいるかのように、全方向から届く音をヘッドホンで再現できる技術を開発した。複数の小型マイクを等間隔で並べた球体で録音し、ヘッドホンに付けた位置センサーで計測した頭の向きに合わせて音を合成する。立体映像と組み合わせた仮想現実(VR)などの用途を想定しており、共同研究する企業などを募り、5年後の実用化を目指す。

球体で録音した音が耳元で聞こえる

球体で録音した音が耳元で聞こえる

 音の計測は人の頭ほどの大きさの直径17センチメートルの球体を使う。表面に2センチメートル間隔で幅約3ミリメートルの小型マイクを252個並べた。どの方向から届く音でも録音することができる。

 再現する際は、すべてのマイクの録音データを統合する必要がある。研究チームは、コンピューター上で集音に使った球体と、顔の3次元モデルをそれぞれ作った。全方向から球体が受ける音と、人の顔が受ける音との違いを数値解析し、人がどの方向からの音を強く感じているのか計算できるようにした。それに合わせて方向ごとに重み付けし、音を再現する際に強調する割合を決めた。

 ヘッドホンには位置センサーを付けており、頭の向きをとらえてそれに合わせた音を合成して出す。実際にその場にいるかのような立体的な音をどの方向でも再現できる。臨場感のある音響システムを目指す取り組みはほかにもあるが、特定の場所で全方向から届く音を、物理的に再現するのは珍しいという。

 現状の装置は、周波数20~10キロヘルツを録音できる。人が認識できるといわれる約20キロヘルツまで録音するには、1センチメートル間隔で1002個のマイクを付けるだけでなく、音を処理する回路を小型化する必要もあるという。

 音の聞こえ方は顔の形のわずかな違いから人によって多少異なる。研究チームは顔の形と音響特性の関係などのデータを蓄積し、将来はその個人に合った音を自在に再現できる技術の実現を目指す。

(科学技術部 中島沙由香)

[日経産業新聞 10月12日付]

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