さいたま市、国際自転車レースのファン拡大強化 - 日本経済新聞
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さいたま市、国際自転車レースのファン拡大強化

さいたま市が11月4日開催の国際自転車レース「さいたまクリテリウム」のファン拡大や、地域活性化の取り組みを強化している。若年層への浸透やイベントの一般公開、商店街との連携強化などが柱だ。2019年以降に民間主体の運営に移行することが検討されているため、注目度や採算性を高めることで市内開催の存続をめざす。

9月23日、モデルの松元絵里花さんと埼玉大学サイクリング部の学生3人らが、武蔵一宮氷川神社など市内の観光地をスポーツ自転車で巡り、浦和大学の学生3人が取材した。若い世代にも大会を知ってもらおうと7月に発足した「さいクリ広報部」の活動の一環だ。

今回で5年目となる大会には毎年約10万人の観客が集まるが、30~40代が中心。部長の松元さんや部員の大学生はイベント参加や交流サイト(SNS)などで同世代にPRする。埼大2年の土井幹太さんは「大会をきっかけにツール・ド・フランスを見るようになった。自転車の楽しさを伝えたい」と意気込む。

市などでつくる実行委員会はファン拡大に注力する。今月6日に東京都内で開いた出場選手発表や大会前日の選手紹介イベント、市内交流会は16年までメディア向けだったが、今回は初めて一般公開。選手や大会を身近に感じてもらう。

商店街などと連携し、グッズの抽選やステッカー、コースターの贈呈などを実施する地域活性化策も強化する。さいたま市商店会連合会の秋のキャンペーンで大会とタイアップする店は16年の約1700店から1800店以上に拡大。同会の田中泰治副会長は「開催地のさいたま新都心から遠い店からも、今まで来たことのない人が来店するようになったという声を聞く」と話す。

与野商店会連合会が実施するスタンプラリーも参加が10店から47店に。飲食店が大会と連携したメニューを提供する「クリテリウムカフェ」も5店から20店以上に増える見込みだ。

16年の大会の経済波及効果は約29億円。市内では約6億7200万円と試算されるが、市はさらなる拡大を目指す。

実行委は16年にツール・ド・フランスを主催するアモリ・スポル・オルガニザシオン(ASO)と3年間の大会開催契約を結んでいる。市は17年度、実行委への補助金2億7000万円を支出するが、市議会などから「興行は民間が行うべきだ」「税金投入額が大きすぎる」との指摘もある。

このため市は19年以降の民間移行を検討しており、りそな総合研究所に課題分析などの調査を委託。17年度中に移行ビジョンを作成する方針だ。

市スポーツイベント課は「利益を生み出せる大会にしなければ民間企業は手を挙げない」と説明。「市の財産、文化として多くの人に認識してもらえるよう、ファン拡大などの取り組みを強化したい」としている。

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