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受注目標は「100機」 欧プロペラ機のATRが攻勢

欧州のプロペラ機メーカー、ATRが日本で事業拡大に乗り出した。うたい文句はジェット旅客機に比べて「燃料コストが8割安い」。2016年の天草エアラインに続き、今年は日本エアコミューター(JAC)でも50席級の「ATR42-600」が運航を開始。まだ計3機とはいえ、世界ではリージョナル機と呼ばれる50~90席級の市場で世界シェア3割を占める巨人。日本市場にどう挑むのか。

日本市場の潜在需要は2025年までに100機を見込んでいる

同社の市場予測では、日本で25年までのリージョナル機の潜在需要は100機。新規路線の開設、老朽化したプロペラ機の更新にくわえ、ジェット機からの切り替え需要を取るという野心を隠さない。クリスチャン・シェーラー最高経営責任者(CEO)は「全部取れる可能性?150%だ」と意気軒高だ。

ATRはフランスに本社を置き、欧州エアバスとヘリコプターで知られるレオナルド(イタリア)が50%ずつ出資している。競合の中で最も軽いとうたう座席などが特徴で、同社の試算によると、燃費は競合するボンバルディア(カナダ)の「Q400」などのプロペラ機に比べ4割、三菱航空機の「MRJ」などのジェット機と比べると85%良いという。

2年前に参入した日本では交換部品や操縦用シミュレーターの配備など、積極投資を続ける方針。地方には滑走路の短い空港も多い。同社機は最短1000メートル級の滑走路で離着陸可能で、さらに最短800メートルの滑走路に対応する「ATR42-600S」も20年に投入予定。「新たにインフラに設備投資をする必要はありません」と強調し、地方自治体や地方航空会社に導入を働きかけている。

実力はどうか。11日、鹿児島県の沖永良部島に向かうフライトに搭乗したフジドリームエアラインズ(FDA)の米原慎一副社長は「静かで良い飛行機だ。座席も広かった」と話した。米原副社長はパイロット時代にこの機体を操縦したこともあり、「近くのスーパーにフェラーリでは行く必要はないでしょう」と話す。ジェット機に比べて飛ぶ高度が低く、「耳ツン」がおきにくいという同社の説明には記者も合点がいった。

ただもちろん、スピードの遅さは運航頻度を高めたい格安航空会社(LCC)にはネックに映る。日本市場で先行し、時速600キロメートル台で飛ぶことができるQ400と比べると、同500キロメートル台のATRは見劣りする。ある航空会社の関係者は「どれほどコストが安くても、その分売り上げも減っては意味がない」と話す。

ATRのこれまでの受注は旧世代機から累計1500機に上り、MRJの3倍以上の規模だ。経験と知見を総動員して、日本市場で存在感の確立を狙っている。

(企業報道部 市原朋大)

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