2017年12月17日(日)

仮想通貨でもマネーロンダリング対策はできる

フィンテック
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2017/10/13 6:30
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VentureBeat

 イスラエルの地方裁判所はこのほど、ビットコインやイーサリアムなど仮想通貨の取引を主に手掛ける企業に金融サービスを提供する義務は銀行にはないとする判決を下した。中央銀行やイスラエル証券庁、マネーロンダリング(資金洗浄)禁止機関などの主要当局がこうした企業を最小限にとどめる枠組みを示せていないのに、銀行が金融プラットフォームの提供でリスクを負う必要はないというのが判断の理由だった。

(C)conejota/Shutterstock

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■世界の金融当局、仮想通貨の「疑似匿名性」に懸念

 イスラエルをはじめ世界各国の当局が留意している仮想通貨の主なリスクの一つは、「疑似匿名性」だ。規制当局はこのデジタルトークン(電子コイン)の送金手段について、報告義務が緩く既存のマネーロンダリング対策やテロ組織への融資規制の適用が極めて難しい「ブラックボックス」だとみなしている。だが、仮想通貨に組み込まれたブロックチェーン技術の特性は、マネーロンダリング対策を阻むどころか、既存のメカニズムを超える成果を上げる力を秘めている。

 仮想通貨業界とマネーロンダリング対策の指針の綻びは広がりつつある。これにはビットコインが構造的にハッカーや犯罪者に好まれやすいというやや的外れな評判など、いくつかの要因がある。現行のマネーロンダリング対策は、既存の中央集権型の金融システムを念頭に設計されているため、そのままでは固有の匿名性に基づく金融システムに対処できない。現行の対策はむしろ、全ての金融機関に法律で報告を義務付ける「顧客確認(KYC)」プロセスの監視や活用に頼りきっている。

 現行のマネーロンダリングの監視メカニズムでは、全ての取引の法的主体を特定できる。法定不換紙幣(政府が発行したお金)の追跡データには(1)銀行口座の開設など金融システムの入り口、(2)口座間の送金や銀行間の国際決済ネットワークを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)を使った送金など金融システム内での取引――の2つがある。こうしたシステムは金融活動を監視し、取引のマネーロンダリングのリスクを評価し、関連通知や報告で追跡調査を進める。犯罪で得た資金が悪用されていることが分かれば、関係人物を容易に特定できる。

■仮想通貨にも取り締まりに必要な要素を盛り込める

 これに対し、仮想通貨は取引でID情報を使わないため、現行のマネーロンダリングの監視や取り締まり能力が大幅に損なわれるとの批判がある。だが、顧客識別情報や取引記録、さらには取り締まり機能など、規制や取り締まりに必要な要素を仮想通貨システムに備えることは可能だ。全ては視点の問題だ。

 第1に、仮想通貨は電子財布「ウォレット」を通じて、取引の最初と最後の利用者を特定できる。トークンは銀行口座の代わりに、ウォレットに保管されるからだ。

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