2017年12月13日(水)

山形大、皮膚の傷治癒効果ある粉末を発見

北海道・東北
2017/10/12 2:00
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 山形大学は11日、皮膚の傷を治癒する効果のある物質を発見したと発表した。半導体である酸化亜鉛粉末を製造する過程で生じるシモンコライトという粉末で、傷口を覆う医療用被覆剤に比べ、癒着も起きず深い傷でも早く正常な皮膚が再生することを動物実験で確認した。今後3~5年かけて医療現場などでの実用化をめざす。

皮膚創傷治癒効果を発見したシモンコライトを塗る様子

 シモンコライトに皮膚の傷をなおす効果があることを発見したのは、山本修教授(生体機能修復学・医工学)。JFEグループのJFEミネラル(東京・港)との共同研究の過程で発見した。シモンコライトが、亜鉛イオンを徐々に放出してタンパク質分解酵素を活性化させ、新たな血管をつくりだして皮膚を再生させることをラットで確認した。毛を生む毛包という器官もでき、実際に体毛も生えた。現在、より人体に近いブタでの実証を進めている。

 通常、軽い傷なら自然に治癒するが、表皮の下にある真皮や皮下組織に及ぶ深い傷には、湿潤ゲルやポリマー製の医療用創傷被覆剤を使って治療するのが一般的。ただ、長期に及び、完全になおすことが難しい。傷痕や引きつれが残るなどの課題もある。

 シモンコライトは、生体とほぼ同じpH値で、水に溶かして軟膏(なんこう)状になるため使いやすく、ごく微量で済み、治癒後、皮膚にも残らない。長期間同じ姿勢で寝たきりになってできる床ずれ治療には直ちには難しいが、切り傷、すり傷、裂傷には効果があるとみている。

 シモンコライトは、太陽電池やタッチパネル、抗菌剤などに幅広く使われる酸化亜鉛をつくる前段階の物質で、すでに工業生産されており製造法は確立している。新たな設備投資が不要なため製造コストが安価で済むメリットもある。

 研究成果は、11月20日から東京で開かれる日本バイオマテリアル学会や、30日から岡山市で開かれる国際会議で発表する。

 創傷治癒剤として特許5件を出願、新規治療薬としての承認・製造・販売に向けて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と事前相談などを進めている。医療現場での使用のほか、将来は家庭でも使われることも視野に研究開発を進める。

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