P&G、物言う投資家の取締役就任ならず 株主投票でペルツ氏が敗北
【ニューヨーク=河内真帆】米日用品プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は10日、会社本拠地オハイオ州シンシナティで株主総会を開いた。株主投票の結果、大株主のトライアン・ファンド・マネジメント主宰者のネルソン・ペルツ氏が要求していた同氏の取締役就任の提案を退けた。
ペルツ氏はP&Gの株価が低迷するのは経営陣の怠慢と主張して投資家に賛同を求めていたが、委任状争奪戦の結果、過半数は獲得できなかったもようだ。
だが同氏は投票結果は非常に接戦で結果を納得できないとし、独立した調査が入るまで最終結果とはいえないと表明した。一方、P&Gは今回の結果は暫定的なもので、独立調査の詳細は米証券取引委員会(SEC)に提出する報告資料内で開示すると説明した。
事前には発行済み株式の4割を保有する退職年金基金などの機関投資家がペルツ氏の取締役就任への賛同を表明していたほか、株主アドバイザー大手3社のグラス・ルイス、ISS、イーガン・ジョーンズ・レーティングスもペルツ氏を支援、票数が拮抗するとみられていた。
今回の委任状争奪をめぐるキャンペーンに、トライアンとP&Gが費やした金額は総額6000万ドル(約67億円)とも推定されている。
2015年にもペルツ氏は同様に化学大手デュポンの役員就任を要求し、否決された。直近では米ゼネラル・エレクトリック(GE)に投資し、同社取締役にトライアン幹部を送り込んだ。