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脱皮する大阪の銭湯 活路求め沸く個性(もっと関西)
とことんサーチ

2017/10/12 17:00
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 大阪の銭湯は、自由の女神が立つ場所もあるなど個性が光る。最近では客層や運営面で変化を遂げている。「歴史系」や「国際系」「ランナー系」「イベント系」など志向は様々だ。変わりゆく大阪の銭湯の最新事情を調べた。

■入浴にちなみ?女神像

源ヶ橋温泉の自由の女神像が持つトーチは「温泉マーク」
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源ヶ橋温泉の自由の女神像が持つトーチは「温泉マーク」

 まずは歴史系の探訪から。大阪市生野区の老舗銭湯、源ヶ橋温泉は下町風情漂う路地にモダンな建物を構える。入り口の上には2体の自由の女神像! よく見るとトーチ(たいまつ)が炎ではなく、「温泉マーク」という凝り方だ。

 自由の女神の由来について、「自由の女神→ニューヨーク→入浴」との噂があるらしい。真偽についてオーナーの中島弘さん(75)に尋ねたところ「父親の頃からあるが、噂があるのを知っている程度」と、由来は定かでないという。

 源ヶ橋温泉はユニークな自由の女神像がある一方、1937年の建造で98年には公衆浴場として日本初の国の登録有形文化財に指定された。その由緒ある温泉も「ここ数年で客層が変わった」(中島さん)。地元客に加え、ネット情報で「北は北海道、南は九州から客が来るようになった」。

■宿泊訪日客 入り放題

昭和湯は、提携ゲストハウスの宿泊客が銭湯入り放題に
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昭和湯は、提携ゲストハウスの宿泊客が銭湯入り放題に

 次に国際系。通天閣の真下に位置する大阪・新世界の新世界ラジウム温泉を訪れた。オーナーの田前博巳さんは「どこから来たの」と番台から、訪日外国人客と英会話を楽しんでいた。

 中国・南京市から来た女性の徐寒さん(27)は「番台に男性が座っていて驚いた」と語るが、「でも、これが日本の文化だと感じました」と異文化交流を楽しんでいる様子だ。

 東淀川区淡路の昭和湯も、訪日客に人気の銭湯だ。経営する森川晃夫さんは、近くでゲストハウスを営む弟の真嗣さんと組んで、宿泊した客は銭湯入り放題というサービスを提供する。この話しを聞いて東淀川まで足を運ぶ欧米からのバックパッカーもいるという。

 大阪の銭湯の客層は地元客から観光客、特に訪日客にシフトが進んでいるようだ。なぜ銭湯は訪日客に魅力に映るのだろうか。

 「銭湯は一つ一つ表情が違う」と解説するのは、ステファニー・コロインさん。フランス出身の銭湯ジャーナリストとして活動。全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会の初代銭湯大使にも就いている銭湯通だ。「縁側や庭、富士山のタイル画など『アート』のようで魅力的」と指摘する。

■長居のランナーに的

いりふね温泉は多くのランナーが利用
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いりふね温泉は多くのランナーが利用

 地元の利用者を掘り起こす取り組みについても、新しい試みが始まっている。

 代表的なのはランナーに焦点を当てた銭湯だ。午後6時すぎ、阿倍野区西田辺のいりふね温泉をランナーが勢いよく飛び出していく。「毎日40人ほどの銭湯ランナーが会社帰りに来る」と話すのはオーナーの前川優さん(63)。長居公園が近くに立地。荷物を置いてジョギング後に入浴できるサービスに着目したのが奏功した。前川さんもフルマラソンの自己ベストが3時間55分23秒のランナーだ。

■ライブやオフロンピック

朝日温泉は「イベント温泉」との異名を持つ
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朝日温泉は「イベント温泉」との異名を持つ

 様々な企画をするイベント系の銭湯もある。住吉区南住吉の朝日温泉は「イベント温泉」との異名を持つ。10月9日には銭湯ライブを開催。銭湯から打楽器やギターの音色が聞こえてきた。客はタコスやカレーをつまみながら演奏を楽しんだ。「銭湯はもっと魅力的になれる」と朝日温泉を経営する田丸正高さん(35)。銭湯ライブのほか、おけやタオルを使ったゲームを盛りあげる「オフロンピック」なども企画する。

 銭湯が変化を遂げている背景について、大阪府公衆浴場組合の藤本隆夫事務局長は「変わらざるを得ないんですよ」と解説する。大阪の銭湯は07年に860カ所あったが、16年末には460カ所まで減った。地元客の生活様式の変化が主因とされ、観光客をはじめ新しい集客を迫られている。

 後継者不足も課題で、オーナーが運営者を委ねる事例も増えた。大阪市此花区の「千鳥温泉」を運営する桂秀明さん(51)は脱サラし、10月に担い手がいなくなった銭湯を引き継いだ。「将来は自転車乗りが集まる銭湯にしたい」と、将来ビジョンを貪欲に語る。

 大阪の銭湯を巡る中で見えたのは「危機」の中も試行錯誤して、変わっていく銭湯の姿だ。様々な銭湯が登場するなかに、大阪銭湯の熱気を感じた。

(大阪経済部 赤間建哉)

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