EU、米IT巨人への課税強化で温度差
財務相理事会、年内に具体案

2017/10/10 23:30
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の財務相理事会はIT(情報技術)企業への課税強化策を年内にまとめる。照準に据えるのは米グーグルなどITの「巨人」。欧州市場を席巻する一方、利益に見合った税金を納めていないとの不満が強い。ただ具体策を巡っては、低税率を売りに企業を誘致してきた国々からの反発は根強く、合意への道のりは平たんではない。

EU加盟28カ国は10日、ルクセンブルクで財務相理事会を開き、12月の理事会でIT企業への課税強化策をまとめる方針を確認した。終了後に記者会見した議長国エストニアのトニステ財務相は「解決策を見つけ出さなければならないとの認識で、全ての加盟国が一致した」と語った。

EUが最優先課題に掲げるのが、日米を含む主要20カ国・地域(G20)での課税ルール見直しの実現だ。IT企業の「税逃れ」防止策は経済協力開発機構(OECD)が検討中で、2018年春のG20財務相・中央銀行総裁会議に中間報告する。EUはそこでの合意を目標に、17年末までにEU案を固め、年明け以降のOECDでの見直し議論を主導したい考えだ。

議長国エストニアは海外企業に課税する際の国際ルールの見直しを提案。現行制度では国内に支店など「恒久的施設(PE)」がない企業には課税しないのが原則だが、今の時代に沿った「仮想PE」を検討するなどして、支店などがなくても国内で利益を上げていれば課税できるようにする。OECDも検討課題としており、EU加盟の20カ国以上が賛意を示す。

ただG20での国際合意の実現のハードルは高い。IT企業への課税の主導権を巡り米国との摩擦が避けられないため。EUの執行機関である欧州委員会は「国際的な進展が乏しければ、EU独自策を導入すべきだ」と主張。フランスやドイツなどはIT多国籍企業と国内の従来型企業の"税収格差"を是正できる「応急措置」を求めている。

仏が主導し独、イタリア、スペインの4カ国が共同提案したのが、IT企業の課税対象を利益から売上高に切り替える案。各国の売り上げに応じて課税することで、納税額が「均等化」できるという主張だ。ほかにも欧州でのネット広告課税の導入や、EU域外のIT企業に支払われる代金への源泉徴収税の導入などの案が浮上する。

欧州委員会は21年の完成を目標に加盟国に提案している域内の法人課税の共通ルール「共通連結法人税課税ベース(CCCTB)」にIT企業向けのルールを盛り込むことも提案している。EU加盟国は年末に向け、まず財務相理事会で意見集約を進める。欧州委員会はG20での協議を踏まえ、18年春をメドに税制改革案の提出を目指す。

ただEU独自の課税強化への反発の声も根強い。アイルランドのバラッカー首相は「EUがデジタル分野でのリーダーになるためには、課税や規制の強化は解決策にならない」と批判する。

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