2018年10月23日(火)

原発事故避難者「大きな前進」 国・東電に賠償命令

2017/10/10 18:45
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福島第1原子力発電所事故を巡り、3月の前橋地裁に続いて国と東京電力の賠償責任を認めた10日の福島地裁判決。避難を強いられた原告は「大きな前進」「今後の訴訟に影響する」と喜びの声を上げた。ただ、居住地の放射線量を事故前の水準に戻す原状回復の訴えは退けられるなど「不十分」との声も漏れた。

午後2時の判決直後、福島地裁前で原告側弁護団が「勝訴」「被害救済広げる」と書かれた垂れ幕を掲げると、集まった数百人からは「勝ったぞ」などと大きな歓声が上がった。泣きながら抱き合う人の姿も見られた。

東電は国の審査会が定めた指針に沿って賠償してきたが、判決は原告の多くに「指針を超える精神的損害がある」として金額の上積みを命じた。指針で対象外だった茨城県の居住者にも「被曝(ひばく)による健康不安は賠償に値する」と損害を認めた。

記者会見で弁護団の菊池紘共同代表は「2900人もの損害賠償が認められ、大きな前進だ」と判決を評価。今後も国と東電を相手にした同種の集団訴訟の判決が全国で控えているとして「戦いの大きな足がかりになる」と前を向いた。

別の弁護士も判決が2002年に公表された長期評価に基づけば国は津波を予見可能だったと判断したことに言及。「長期評価を非常に丁寧に検討した上で予見可能性をしっかりと認めた。これまでで最も緻密な判断だ」と喜んだ。

一方、居住地の放射線量を事故前の水準の毎時0.04マイクロシーベルト以下に戻す「原状回復」について、判決は「切実な思いに基づく請求で心情的には理解できる」と言及しつつも退けた。生まれ育った故郷を失ったことに対する「ふるさと喪失慰謝料」も既に支払われた賠償金に含まれているとして認めなかった。

ある原告側弁護士は「賠償金は求めていた額を大きく下回り、不十分な点がある。前進した部分とがっかりした部分が入り交じった判決だ」と複雑な表情を見せた。

東電は判決を受け「内容を精査し、対応を検討していく」とのコメントを出した。原発事故に関しては「福島県民の皆さま、社会にご迷惑とご心配をお掛けしおわびする」と改めて言及した。

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