2017年12月13日(水)

働く親や人手不足に対策を 衆院選で愛知の有権者

中部
2017/10/10 14:00
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 10日公示され、22日の投票日に向け12日間の選挙戦が始まった衆院選。政界の構図は一変し、新党や無所属での出馬が相次ぎ、論戦は慌ただしく始まった。愛知県も待機児童問題や企業の人手不足など様々な課題を抱える。有権者は候補者の主張に聴き入った。

候補者の出陣式で演説を聞く有権者(10日午前、名古屋市中区)=一部画像処理をしています

 「国民の生活を守り抜くには、経済力と教育力を高めないといけません」。10日午前10時、名古屋市天白区の選挙事務所前で、愛知3区(天白、昭和、緑の各区)から立候補した前職男性(51)が声を張り上げた。年金や医療・介護、子育てなどへの対策を充実させると訴えた。

■隠れ待機児童多く 愛知3区

 女性の就労意欲が高まり、保育所の増設を求める声は多い。名古屋市は「待機児童ゼロ」を2014年度から4年連続で達成している。ただ特定の保育所を希望したり、親が育児休業中だったりして、統計に入らない「隠れ待機児童」が4月1日時点で715人に上る。

 中でも天白区は95人と市内で最も多い。緑区でも67人を数え、いかに隠れ待機児童を減らすかが大きな課題だ。

 「近所の保育所の定員が満員で入所できなかった」。緑区の主婦(33)は長女(2)を妊娠したのをきっかけに仕事を辞めた。不動産会社で正社員として勤務、出産後の復職も考えたが、「自宅近くの保育所への入所が難しく、諦めざるを得なかった」と話す。

 長男(1)を育てる天白区の女性会社員(31)の朝は忙しい。自宅から車で約10分かかる保育所に預けるためだ。「最寄りの保育所はいっぱいで入れなかった。職場とは逆方向のため、毎日が苦労の連続」とため息をつく。同様の理由で自宅や職場から離れた保育所への送迎を続ける近隣住民も多いという。

 子育て支援ボランティア「天白子ネット」(天白区)の吉岡美夏代表(50)は「『待機児童ゼロ』の裏には、多くの親が仕事を諦めたり、きょうだいを違う保育所に預けたりしているなどの現実がある」と指摘する。

 衆院選では将来、消費税を10%に増税した場合の増収分の使い道も争点になる。吉岡さんは「親が安心して子供を預け、仕事ができる社会を早く実現させてほしい」と訴える。

■高齢化と過疎化 愛知14区

 愛知県によると、県北東部の東栄町は65歳以上が人口の54.5%を占め、県内で最も高齢者の比率が高い。人口は減少が続き、9月時点で2947人と、ピークだった1955年から7割以上減った。高齢化と過疎化への対策は喫緊の課題だ。

 豊田市の一部や新城市、豊川市などとともに愛知14区を構成する同町。山間部に位置し、急な坂道が多く高齢者が移動するには困難を伴う。

 しかし、買い物や通院などに使われる昼間の路線バスの運行本数は少ないままだ。同町で高齢者宅の見守り活動などをするNPO法人「北設楽福祉支援センター」の八幡久夫理事長(61)は「お年寄りが買い物や病院に行くための交通手段が足りない」と漏らす。

 人口減などで同町の財政は逼迫している。2017年度の歳入約31億円のうち、国からの交付金は約16億円と半分以上を占める。高齢化と過疎化への対策は不可欠だが、今回の衆院選で主要な争点となって論戦は深まるかどうか。八幡理事長は「医療や介護などもっと高齢者対策を議論してほしい」と考えている。

■工場が集積 愛知13区

 愛知県内は製造業、非製造業問わず多くの工場や事業所が集まる。輸出の伸びなどで生産は活発だが人手不足は深刻だ。

 刈谷駅近くのハローワーク刈谷(刈谷市)には8月、1万3321人分の求人が寄せられた。対する有効求職者は6867人。求人倍率は2倍に迫る。園田由佳上席職業指導官は「毎週のように中小企業の経営者から『求人票を出しているのになぜ連絡がないのか』と問い合わせが来る」と打ち明ける。

 刈谷や安城、碧南など5市は愛知13区の候補者に政策を託す。工作機械のメンテナンスを手掛け、受注は好調という安城市の男性経営者(37)は「人が全然足りないのに、人手不足に対する公約があまり見当たらない」と不満げ。衆院選では「自動車産業が盛り上がり、国内生産が続くような対策」を見極めて一票を投じようと考える。

 「採用しても、長く勤めてくれる人材は少ない」。刈谷市の介護事業所で人事を担当する男性(42)は送迎ドライバーなどの人集めに苦労している。「介護業界で働く人の賃金は低い。国は福祉にお金をもっと使ってほしい」と、衆院選では就労環境の改善策に注目するつもりだ。

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