神戸製鋼がデータ改ざん部材 トヨタや三菱重など200社に
国産ジェット旅客機「MRJ」にも採用
神戸製鋼所は8日、生産するアルミ製部材について強度など顧客が求める品質基準を満たしていなかったと発表した。取引契約に反して品質データを改ざんしていた。供給先は三菱重工業など航空機関連メーカーやトヨタ自動車など約200社に及ぶ。管理職も含め少なくとも数十人がかかわっており、不正が組織ぐるみだったことも明らかになった。

品質検査に関する証明書を改ざんしていたのは、長府製造所(山口県下関市)や真岡製造所(栃木県真岡市)、大安工場(三重県いなべ市)など同社グループの4事業所。昨年9月から今年8月末まで強度や寸法などのデータを偽装していた。
内訳はアルミ製部材が1万9300トン、銅製品2200トン、アルミ鍛造品が1万9400個で、アルミ・銅事業の年間売上高の約4%を占める。過去10年にさかのぼった調査でも一部で改ざんが見つかった。長年にわたり組織ぐるみで改ざんしていた。
同日、都内で記者会見した梅原尚人副社長は「深くおわび申し上げる。反省している」と陳謝したうえで、「不適合部品の安全性に疑いがある問題は現時点で起きていない」と釈明した。出荷先のメーカー名は明らかにしていないが、三菱重工業は子会社が開発中の国産ジェット旅客機「MRJ」に問題部品が入っていることを認めている。トヨタ自動車も複数の車種に採用されていることを確認、影響がないか調査に入った。

顧客が求める品質データ書き換えのため、法令や日本工業規格(JIS)違反ではないが、神鋼は安全性について顧客と検証し部品取り換えなどには応じていく考え。改ざん度合いによっては自動車メーカーはリコール(回収・無償修理)を迫られる可能性もある。
アルミ圧延品の国内シェアはUACJが約34%と首位。神鋼は2位で約18%を占める。業績への影響は未定としている。