2019年6月27日(木)

核廃絶への努力に光 被爆者ら「大きな励み、心強い」
ICANにノーベル平和賞

2017/10/7 2:20
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「核廃絶を訴える私たちの仲間がノーベル賞を受賞した。心から喜びたい」。6日夜、広島市中区の広島県原爆被害者団体協議会。テレビを通じて発表の様子を見守った副理事長の箕牧智之さん(75)はICANの受賞が決まった瞬間、深く、何度もうなずいた。

国連本部を訪れた時の写真を手にする広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之副理事長(6日、広島市中区)

箕牧さんは72年前、広島市へ原爆が投下された翌日に父親を探しに市中心部に入り被爆。核廃絶運動に関わり、今年6月には核兵器禁止条約の制定交渉が進んでいた米国の国連本部で、運動に賛同する約300万人分の署名を提出した。

この日は目にうっすらと涙を浮かべながら「被爆者にとって大きな励みになる。(ICANが)世界を強くリードしてくれていることをとても心強く思う」と話し、「核兵器禁止条約に核保有国などが参加するよう働き掛ける上で支えになる」と期待を込めた。

爆心地から約1.5キロの地点で被爆し、顔や全身にやけどを負った副理事長の池田精子さん(85)も、ともに発表を見守った。受賞を伝えるテレビ画面を食い入るように見つめた後、「もう2度と私たちと同じような思いは誰にもさせてはならない」と訴えた。

ICANの受賞の一報を聞いた被爆者で広島平和記念資料館の元館長、原田浩さん(78)は「長年の努力の積み重ねがやっとここまできた」と喜びをかみしめる一方、「核兵器廃絶に向け取り組むべき課題は山積している。被爆地に生きる我々が、悲惨な体験をしっかりと発信しなければいけない」と話していた。

受賞の知らせは長崎の被爆者にも。長崎原爆被災者協議会会長の田中重光さん(76)は「72年間続けてきた私たち被爆者の活動が世界の核兵器廃絶の流れになった」とICANの受賞を歓迎した。

長崎の被爆者として、日本の核廃絶運動をけん引した谷口稜曄(すみてる)さんが今夏、亡くなったばかり。田中さんは「私たちの努力が一つ一つ実になっていますよ。ありがとうございました」と涙をぬぐった。

ICANと連携し核兵器廃絶を目指してきた日本原水爆被害者団体協議会(東京・港)の代表委員、田中熙巳(てるみ)さん(85)は「受賞できなかったのは、正直に言うと残念」と語り、「今後も核なき世界を目指す」と前を向いた。

ICANに参加する国際NGO、ピースボート(東京・新宿)の共同代表でICAN国際運営委員の川崎哲さん(48)は移動中の飛行機の中から、「核兵器の禁止と廃絶を願ってきた全ての人たちに向けた賞だと思います」とのコメントを寄せた。

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