2017年12月16日(土)

血圧測定、社員に「義務化」 オムロン系

ヘルスケア
2017/10/10 19:48
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 オムロン傘下の医療機器メーカー、オムロンヘルスケア(京都府向日市、荻野勲社長)は今月から、全社員が毎日血圧を測る取り組みを始めた。「健康経営」の機運が高まるなか、医療関連企業として社員の健康管理を徹底する。社員から集めたデータを基に、疾患予測など新サービス開発につなげる狙いもある。

社員は自宅で毎日2回、血圧を測る

社員は自宅で毎日2回、血圧を測る

 「健康経営を普及させるには、まず自分たちが手本を見せなければならない」。オムロンヘルスケアはこんな意気込みで、約650人の全社員に自社製品のデジタル血圧計を無料配布した。

 3月に発売した上位機種「HEM7600T」。店頭価格は2万円弱で、腕に巻く帯と本体が一体化したタイプだ。帯と本体がチューブでつながる従来製品に比べてコンパクトで扱いやすい。

 社員には、毎日朝と晩の2回、各家庭で血圧を測ることを義務付けた。

 たとえ自社製品であっても全社員が日常的に使っているとは限らない。1日2回、必ず測って報告することに面倒を感じる社員もいそうだ。しかし、そこは製品自体に工夫がある。スマートフォンのアプリと連動しており、簡単な操作でデータを同社のクラウドに送信し、保存できる仕組みになっている。

 6月に試験的に実施したところ、社員の評判は上々だった。

 ある社員はこう話す。「飲酒した日の夜は血圧が低く、次の日の朝は高くなるとは知らなかった。血圧が生活習慣と密接に結びついていることを改めて実感した」

 10月からは全社に拡大したが、すでに社員から「家庭で家族と一緒に測れば習慣化できる気がする」などと前向きな声が出ているようだ。

 単に測るだけではない。家庭で測る場合の血圧の正常範囲「最高135ミリ、最低85ミリ未満」を、全社員が達成することを目指す。6月試験導入では、約2割の社員が基準値を上回っていた。

 日本高血圧学会によると高血圧患者は約4300万人に上る。高血圧が重症化すれば、脳や心血管疾患を高い確率で引き起こすリスクが大きい。日本では死因の2位が心疾患、4位が脳血管疾患で4分の1を占める。

 集めたデータは保健師がチェックする。問題がある場合は産業医が健康指導したり、カードを渡して病院での検査や治療を求める。月に1回社内で健康をテーマとしたセミナーも開く。

 今のところチェックを怠った社員がいてもペナルティーを課すことはないというが、趣旨を理解してもらい、全社員の参加を求めていく。

 本業につながる期待もある。オムロンは16年に世界で血圧計販売2億台を達成し、国内でもトップシェアを占める。ただ血圧計市場は飽和気味だ。富士経済(東京・中央)によると国内市場は15年に126億円で、17年は132億円と微増にとどまる見通しだ。

 オムロンヘルスケアは従来型の単体売りの事業モデルから脱し、IT(情報技術)などを駆使して製品とサービスを連携させることを模索している。将来的に心電や遺伝情報などと組み合わせ、脳・心血管疾患との発症関係が分かるようなサービス構築も検討中だ。

 社員による血圧測定により、血圧を測る習慣をいかに定着させるかという課題の解決も探る。

 オムロンヘルスケアは中期経営計画で高血圧症や脳梗塞などの発症を極力なくす「ゼロイベント」を事業方針として打ち出している。生活習慣の改善を促す製品やサービスの開発を進める考えで、今回の取り組みもその延長上にある。執行役員経営統括部の江田憲史部長は「オムロングループ全体、そして他企業にも普及させていくことで、事業として拡大していきたい」と意気込む。

 健康機器大手のタニタも社員に対し、体脂肪率などが分かる体組成計を使って、社員が定期的に体脂肪率をチェックすることを義務付けている。

 また、米製薬大手ファイザー日本法人は、自社で禁煙補助薬を販売していることを踏まえ、「2020年までに社内の喫煙者をゼロにする」という目標を掲げている。

 「まずは社員から」は健康関連企業にとっての重要な合言葉になりそうだ。(薬袋大輝)

[日経産業新聞 10月9日付]

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