2017年12月12日(火)

被爆語り継ぐ「ピカドン先生」、国内外で非核訴え

2017/10/6 23:00
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 「同じように核兵器廃絶を訴え、行動してきたICANの受賞をうれしく思います」。6日夜、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の坪井直さん(92)は、ICANの受賞を受けて喜びのコメントを出した。

 坪井さんは72年前、広島市の爆心地から約1キロの路上で被爆。全身のやけどと出血で気を失い、目を覚ましたのは終戦を過ぎた9月半ばだった。投下直後に聞いた、燃え盛る家から助けを求める人々の声が耳から離れず「なぜ自分だけ生き延びたのか」と自問し続けた。

 戦後に勤務した広島市の中学校では、自身を「ピカドン先生」と称し、授業の合間を縫って被爆体験を生徒に伝え続けた。退職後の1994年に被団協に入り、2000年に代表委員に就任。後遺症の狭心症やがんで入退院を繰り返すなか、国内外を回り原爆の被害や核廃絶を訴えている。

 訪れた国は米国をはじめ、ヨーロッパ、中国、インドなど20カ国以上。常に意識したのは、互いの痛みを理解し合う姿勢だ。米国で真珠湾攻撃の責任を問われれば、次の訪米で遺族と面会し、謝罪の言葉を伝える。活動の目的は米国の責任追及でなく、戦争の被害をなくすことだと示すためだ。

 昨年5月には広島を訪れたオバマ米大統領(当時)と、被爆者を代表して平和記念公園(広島市中区)で面会。笑顔で握手を交わしながら「原爆を投下した米国を責めてはいない。核兵器のない世界に向け、あなたとともに頑張ろうと思う」と伝えた。訪問を未来の核廃絶につなげるため、前向きな言葉を絞り出した。

 90歳を超えて体調が思わしくない時もあるが、精力的に活動を続ける坪井さん。ICANの受賞を励みに、6日発表したコメントでは「私たち被爆者は幅広い皆さんとともに命ある限り核兵器のない平和な世界の実現を訴え続けていきたい」と結んだ。

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