2017年12月15日(金)

包括的な銃規制けん制か 米ライフル協会が改造部品の規制容認
共和党も前向き 世論にらみ「ガス抜き」の見方も

トランプ政権
北米
2017/10/6 22:00
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 【ワシントン=川合智之】米ラスベガスで起きた米国史上最悪の銃乱射事件を受け、銃規制に反対するロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」が、容疑者が使った銃を連射可能にする改造部品の規制を容認した。与党・共和党も規制に前向きな姿勢だ。銃規制が前進する契機となる可能性もあるが、小幅な規制の提案で先手を打ち、包括的な規制に世論が傾くことをけん制する狙いも透ける。

 「半自動小銃を自動小銃のように動作させる部品は追加規制すべきだ」。NRAは5日の声明でこう訴えた。あらゆる銃規制に抵抗してきたNRAが自ら規制を提案するのは極めて異例だ。トランプ大統領も「短期間で検討する」と呼応した。

 改造部品は「バンプストック」と呼ばれる。1発撃つたびに引き金を引く必要がある半自動小銃に取りつければ、機関銃のように毎分400~800発の弾を連射できる。連射可能な自動小銃は販売・所持が原則禁止されているが、半自動小銃と改造部品は合法的に入手可能だ。

 米国は銃を持つ権利を合衆国憲法修正第2条で保障する。住民100人あたりの銃保有数は米国が88.8丁と最多で、内戦が続くイエメン(54.8丁)を引き離す。銃による死者が年間3万人を超える現状でも、米国民は自衛のために銃を持つ権利を手放さない。NRAも声明で「(銃規制は)将来の攻撃を防ぐうえで何の役にも立たない」と強調した。

 オバマ前大統領は銃規制に熱心だったが、全米有数の資金力と集票力を持つNRAの支援を受けた共和党は規制強化に強く反対してきた。オバマ氏は銃乱射事件が起きるたびに規制強化を訴えたが、議会で法案は葬られた。

 NRAがバンプストック規制容認に踏み込んだ狙いは、最小限の規制による「ガス抜き」との見方が強い。包括的な銃規制が必要だという世論が盛り上がって「パンドラの箱が開く」(米CNNテレビ)ことをけん制する思惑だ。

 NRAは声明で「オバマ前政権がバンプストック販売を承認した」と責任を転嫁した。NRAの方針転換を受け、共和党のクルべーロ下院議員はバンプストック販売禁止法案を提出する考えを表明。共和下院トップのライアン下院議長も改造部品の規制は「明らかに検討する必要がある」と語った。

 ただ仮に規制が成立しても銃乱射事件が減るとは限らない。バンプストックを使った銃による大量殺人は極めてまれだ。多くの事件では普通の銃や半自動小銃などが使われ、大きな影響はないとの見方もある。駆け込み需要も発生しており、ある改造部品販売会社は「需要過多で注文受け付けを一時停止している」とウェブサイトに掲載した。

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