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上方の古典落語全国に 笑福亭三喬さん松喬襲名(もっと関西)
カルチャー

コラム(地域)
関西
2017/10/6 17:00
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 上方落語家の笑福亭三喬が8日、師匠の名跡である笑福亭松喬(しょきょう)を七代目として襲名する。師匠の六代目松喬が亡くなって4年。総領弟子として一門を率いる立場でもある。大阪松竹座での襲名披露公演を前に「腹をくくった。型に収まることなく、私の歩幅で歩いて行きたい」と意気盛んだ。

七代目笑福亭松喬を襲名する笑福亭三喬さん(大阪市北区)

 「30年間名乗ってきた三喬から松喬に変わるのは不思議な気分」と話す三喬。「襲名したからといって急には変われない」という諸先輩のアドバイスをうけ、襲名公演の1カ月ほど前からは高座で「松喬を継がせていただく三喬です」と自己紹介して口慣らしをしているという。

■「泥棒ネタ」武器

 先人の名を継ぐ事はその芸も受け継ぐことを期待される。昨年の独演会では「笑福亭の必須科目」という「らくだ」をネタおろしした。気の弱い紙屑(かみくず)屋が酒を重ねるにつれ豹変(ひょうへん)していくさまが眼目で、下戸の三喬はやる機会はないと思っていた。襲名が決まり挑戦したところ、自身の解釈を加えた軽妙な語りは好評で、「思っていたより楽しくできた」と手応えをえた様子だ。

 一方、「師匠の十八番を追いかけても追いつけない」とも語る。先代松喬の得意ネタなど笑福亭の芸を継承しつつ、「自分の色も出していきたい」と語る。そのための武器が「泥棒ネタ」。角刈りのいかつい風体が泥棒らしいという理由で、「転宅」や「仏師屋盗人」など泥棒の出てくるネタを得意としている。「落語にでてくる泥棒は根は善人で人がいい。本当にガラの悪い人がすると後味が悪いが、ほんわかした雰囲気は持って生まれたもの。強みを生かしてこれからもやり続けたい」

■本格派で期待

 三喬は1983年に笑福亭鶴三(後の六代目松喬)に入門。古典落語に力を注ぐ実力派として定評のある師匠の薫陶を受け、古典を中心に芸を磨いた。テレビなどマスメディアでの露出が少なく一般の知名度は高くないが、2007年に第1回の繁昌亭大賞を受賞するなど、上方落語の次代を担う本格派として期待されている。

 上方落語協会の会長である桂文枝が創作落語を得意としていることもあり、「古典派としてしっかりやっていくことを期待されている」と自負する。「古典と創作とが互いに競い合うことで上方落語が良くなっていくと思う」

 襲名披露公演では、中学生の時に初めて聞いて落語家を目指すきっかけになったという「初天神」と、笑福亭伝統のネタである「三十石」をかける予定だ。「初天神」は素人時代に覚えたままを師匠の前で演じ「プロの稽古のしかたとは違うと厳しく指導された」という思い入れの深いネタ。「三十石」は東京の落語家も多く手掛けるが「大阪弁で演じるものを聞いてほしい」と選んだ。襲名披露公演は大阪松竹座を皮切りに、全国14カ所を回る。「他の地域の人にも上方のいい話を知ってもらいたい」と意気込む。

 昨年、三代目桂春団治が亡くなり、戦後の上方落語を支えた四天王がすべてこの世を去った。「楽屋に来られるだけで背筋が伸びるというような人が少なくなった」といい、寄席の雰囲気も変わってきたという。これからの上方落語界がどうなっていくのか、今は過渡期でもある。56歳の三喬はこれからが落語家として最も脂ののった時期。次世代を担う一人としての期待は高い。

 来年は初めて役者として芝居に出演するなど、仕事の幅を広げる話もあるが、あくまでもベースは寄席や落語会など生の高座だと心得る。「きっちりした芸を身につけ、10年後、20年後に、後輩たちが襲名興行をする際に呼んでもらえる落語家になりたい」

 (大阪・文化担当 小国由美子)

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