アマゾンに330億円追徴、ルクセンブルクに指示、税優遇「違法」、欧州委

2017/10/4 22:45
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【ブリュッセル=森本学、シリコンバレー=中西豊紀】欧州連合(EU)の欧州委員会は4日、ルクセンブルク政府が米アマゾン・ドット・コムに最大2.5億ユーロ(約330億円)の「違法」な税優遇を与えていたと認定し、追徴課税で取り戻すよう同国に指示した。同委はこれまでも米アップルへの追徴課税をアイルランド政府に求めるなど、巨大企業の「税逃れ」を厳しく指摘してきた。国際的な課税のあり方が改めて問われそうだ。

「アマゾンがEU域内で稼いだ利益の4分の3は課税を逃れていた」。欧州委で競争政策を担うベステアー欧州委員は4日の記者会見で、アマゾンが受けた税優遇はEU法が禁じる「国家補助」に当たるとの判断を示した。ルクセンブルクが2003年から提供した税優遇措置に関し、公正な競争を妨げると断じた。

欧州委によると、同国に拠点を置くアマゾンの販売子会社はウェブサイトの使用権などを名目に同国内の関連会社に使用料を払い、納税額を減らす税制上の仕組みを使った。同委はこうした処理について、アマゾンが課税対象となる利益を不当に低く見積もることをルクセンブルク当局が容認していたと判断した。

アマゾン側は徹底抗戦する構えだ。同社は4日発表した声明で「ルクセンブルクからいかなる特別な優遇も受けていない。同国の税法と国際租税法に完全に従って納税している」と反論した。

欧州委は16年8月、アイルランド政府に対し、米アップルに与えた最大130億ユーロの違法な税優遇を追徴課税で取り戻すよう指示した。アップルは争う姿勢で、事態は膠着している。欧州委は今回、1年以上たってもアイルランド政府が追徴課税していないとして、EU司法裁判所に訴える方針も併せて発表した。

EUが意識するのは、巨大な多国籍企業の節税を巡る納税者の不満だ。放置すれば「反グローバリズム」と結びついたポピュリズム(大衆迎合主義)を勢いづかせるとの危機感がある。大企業などが租税回避地(タックスヘイブン)を巧みに利用する実態を暴露した「パナマ文書」も発覚。20カ国・地域(G20)や経済協力開発機構(OECD)の場で、税逃れを防ぐ国際課税の新たなルール作りが進む。

一方で、EU域内では、頭文字から「GAFA」と呼ばれる米グーグル、アップル、米フェイスブック、アマゾンなどデジタル巨大企業による市場寡占への懸念が深まっている。欧州委には、税逃れがGAFAによる市場の席巻を許し、欧州産業の競争力を損ねているとの危機感も漂う。

EUは9月中旬の非公式財務相会合で、デジタル多国籍企業への課税強化の検討で一致した。12月のEU首脳会議までに加盟国の意見を集約し、来春に欧州委が法案提出をめざす構えだ。低税率で米企業の誘致を進めてきたアイルランドやルクセンブルクなどの異論も強いが、仏独などは国際ルールの見直しを待っていられないとの立場だ。

各国・地域の主導権争いも残る。EUの姿勢に対し、米では「米企業狙い撃ちだ」との不満がくすぶる。日本や欧州など約60カ国が6月、国際的な課税逃れを防ぐ多国間協定に署名するなか、トランプ米政権は参加しなかった。国際社会の結束のもろさが浮かぶ。

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