2017年12月15日(金)

トルコ・イラン、打算の接近 首脳会談 クルド・シリア問題で歩調

中東・アフリカ
2017/10/4 20:00
保存
共有
印刷
その他

 【イスタンブール=佐野彰洋】中東の地域大国トルコとイランが接近を続けている。歴史的なライバル関係を抱える中、イラク北部クルド人自治区の独立問題やシリア内戦など地域の課題で歩調をそろえ、4日イランのテヘランでの首脳会談でも関係深化を確認した。イランは核合意を、トルコは過激派組織「イスラム国」(IS)掃討を巡り米国との関係が悪化しており、対米けん制の思惑でも一致している。

 会談終了後の共同記者会見で、イランのロウハニ大統領は9月25日にイラク北部クルド自治政府が実施した独立の是非を問う住民投票について「悪質な間違い」と非難した。トルコのエルドアン大統領も「正当性がない。承認しない」と述べ足並みをそろえた。

 両国は国内のクルド人に独立の動きが波及するのを警戒。それぞれイラク軍との軍事演習を行う。エルドアン氏は何らかの制裁措置を講じる可能性を改めて示唆した。

 経済連携を巡り、エルドアン氏は貿易額を現在の約3倍、300億ドル(約3兆4千億円)を目指すと表明。ロウハニ師は天然ガス輸出の拡大とトルコからの投資受け入れに意欲を示した。エルドアン氏は最高指導者のハメネイ師とも会談した。

 イスラム教スンニ派のトルコとシーア派のイランはオスマン帝国とサファビー朝ペルシャが何度も戦火を交えるなど歴史的なライバル関係にある。シリア内戦を巡ってはイランがアサド政権を、トルコが反体制派を支援。エルドアン氏が「ペルシャの拡張政策を認めない」と批判するなど、2国間関係は一定の緊張をはらんできた。

 それが足元では一転した。6月にサウジアラビアなどのアラブ諸国がカタールと断交し国境封鎖に乗り出した際にはトルコとイランは食料などの生活物資を運び込んだ。クルドの住民投票反対でも足並みをそろえた。

 接近を促した直接の要因は、シリア内戦へのロシアの介入だ。ロシアの後ろ盾を得たアサド政権は反体制派に対する優位を確立した。トルコはアサド退陣に固執するより、ロシアやイランと組むことでシリアのクルド人勢力封じ込めと、内戦終結をにらんだ主導権確保を優先することへと方針転換した。

 両国の接近は外部環境の変化に対応した打算の産物といえる。だが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコと米国が敵視するイランが歩み寄ることで、米国へのけん制材料としたい思惑もにじむ。

 イランは原子力活動の制限を受け入れる代わりに、国際制裁を解除する米欧中との核合意の破棄を示唆するトランプ米大統領への反発を強めている。トルコもIS掃討でシリアのクルド人勢力を支援しないよう米国に再三求めてきたが、聞き入れられず対米関係が悪化している。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワードで検索

イランクルドトルコクルド自治政府イスラム国



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報