2017年12月17日(日)

アサヒ、ビール系値上げ、外食に転嫁の動きも

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小売り・外食
2017/10/5 1:31
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 アサヒビールは4日、2018年3月の出荷分から、業務用を中心としてビール系飲料を値上げすると発表した。酒販店などの店頭では大瓶で10%前後値上がりする見通しだ。競合他社の追随が想定され、飲食店のビールなどの価格への影響も必至だ。アサヒの表明を受け、早くも外食業界では値上げの動きも出てきた。

 「消費者への影響は大きい。対応を慎重に検討したい」。アサヒをメインのビールとして取り扱う居酒屋チェーン「つぼ八」の担当者は困った表情を浮かべた。6月の酒類の安売り規制強化が影響し、同社では今月2日から中ジョッキの生ビールの価格を460円から10円引き上げたばかり。アサヒの値上げを受け店頭価格に転嫁すれば半年で2度の値上げとなる。慎重な判断を迫られる。

 早くも値上げを決める動きも出てきた。関西地盤で総合居酒屋を運営するマルシェは来年3月から約350店ある「八剣伝」、約30店ある「酔虎伝」などでビールの価格を引き上げる。値上げ幅は未定だが「アサヒから打診があり、社内で急いで調整した」。

 一般的な居酒屋はビールを格安にして集客につなげておりビールの利益率は30%程度と低い。人手不足による人件費高騰や食材の値上がりで採算が悪化しており、他のビール会社が追随すれば居酒屋中心に外食も「値上げせざるを得ない」(国内証券)という。

 値上げを決めた主な理由として、酒類の安売り規制の強化を挙げたアサヒ。規制では正当な理由なしに原価を下回る価格で販売を続けた場合、社名公表から酒類免許の取り消しまで厳しい処分を受ける可能性がある。同社では既に原価割れする製品もあり、法令を順守する観点から値上げに踏み切ったという。

 原価割れする背景にあるのは、ビール会社を巡る厳しい市場環境にある。ビール系市場では、ビール離れを背景に1994年をピークに縮小傾向をたどる。“とりあえず生っ”という若者も少なくなっており、今回アサヒが値上げを決めた瓶商品市場は2016年に08年に比べて約40%減、樽(たる)入り商品は約8%減っている。

 もちろん、今回の値上げはアサヒの固有の問題とは言い切れない事情もある。「各社とも業務用の低採算の構造が共通の課題」とある外資系証券アナリストは指摘する。

 ビール大手各社では業務用酒販店向けのビール系飲料の販売は全体の2~3割と、大きなシェアを占めている。そんな業務用市場ではシェアを重視するのはもちろんだが、将来の家庭用の顧客開拓につながれば良いと判断して、ビールサーバーの無償リースなどの経費がかさんでも手厚く支援してきたからだ。

 アサヒの値上げを受け、あるビール大手の幹部はつぶやいた。「トラック運転手の人手不足による物流費などが収益を圧迫している。今後のコスト動向次第では検討する必要がある」。

 6月の安売り規制のみならず、人件費や食材費の高騰の「三重苦」に直面している外食産業にとって、ビール各社が追随すれば、大きな値上げ圧力となる。

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