電気で走る 世界を変える 欧州EV最前線(IN FOCUS)
北緯69度、オーロラの街トロムソ(ノルウェー)。タクシー運転手ヤン・ニィゴールドさんの営業車は米テスラの電気自動車(EV)「モデルX」だ。ヤンさんは「オーロラが見える空には澄んだ空気が必要」と笑う。トロムソを含む県の新車販売に占めるEV比率(プラグインハイブリッド車を含まない)は12%。ノルウェー全体の19%にこそ劣るが1%にも満たない日本やドイツと比べると驚くべき数値だ。


新車に占めるEVシェアが3割に迫るオスロではEVはすでに日常の光景だ。冷戦時代の地下シェルターに降りると、そこは85台の充電器を備えたEV用の駐車場。郊外には24台分の急速充電器を備えたドライブインも開業した。高まるEV需要と競うようにこうした施設が相次ぎ完成している。
EVの普及にはインフラ整備がネックとの見方もある。しかし電力網はすでにそこにあり、充電器の設置はさほど難しくない。オスロ市のEV推進担当のストゥア・ポトヴィック氏は「EV市場が大きくなると民間の充電設備も利益を生み、再投資につながる好循環ができる」と話す。




ノルウェーは2025年にガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止、英仏や中印もこれに続く。規制に対応すべく自動車大手も相次ぎEVシフトを打ち出す。


インフラのかたちも変わる。スウェーデンのストックホルム郊外。トラックが鉄道レールのような金属製の溝の上を走る。同国の企業連合が実験する走りながら充電できる道路だ。現状はレールに接触する必要があるが、非接触充電が実現すれば充電器そのものも不要になるかもしれない。(フランクフルト支局長 深尾幸生)



