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柏崎原発、「合格」でも遠い再稼働

原子力規制委員会は4日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(新潟県)の再稼働の前提となる安全審査で事実上の「合格」を出した。東電は福島原発事故の処理に巨額の資金が必要だ。原発再稼働を通じた収益改善に対する期待は大きい。ただ、地元の新潟県などの同意を得るめどは立っておらず、再稼働の時期はなお見通せない。

「検証には3~4年」

新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機(9月30日)=共同

柏崎刈羽6、7号機の再稼働は年1000億~2200億円の収益改善につながると東電はみている。原発に比べて燃料コストが高い火力発電所の稼働を減らせるからだ。東電の2017年3月期の連結経常利益は2276億円だった。押しあげ効果は大きい。

福島事故の処理費用は総額約22兆円と見積もられている。東電はこのうち16兆円を負担しなければならない。筆頭株主である政府機関と連名で5月にまとめた新たな経営再建計画では、新事業の拡大や既存事業の再編・合理化などと並ぶ収益改善の柱に原発再稼働を位置づけた。

再稼働に向けた不可欠のプロセスである「合格」は得られたとはいえ、地元自治体はなお慎重だ。新潟県の米山隆一知事は福島事故に対する新潟県独自の検証が終わるまで再稼働の議論はしないとの立場だ。検証には3~4年かかるとしている。

柏崎市の桜井雅浩市長は6、7号機の再稼働を認める条件として1~5号機の廃炉計画を2年以内に作るよう求めている。7月に市長と面会した際、小早川智明社長は「意見交換を重ねていきたい」と述べたが廃炉の判断はそう簡単ではない。

喜ぶのはむしろ他電力

「終わりなき原子力の安全性向上に取り組み、柏崎刈羽原発のさらなる安全性、信頼性の向上に努める」。規制委の判断を受けて東電が出したコメントも抑制的だ。

今回の「合格」に胸を躍らせているのはむしろ他電力かもしれない。柏崎刈羽原発は事故を起こした福島原発と同じ沸騰水型だ。今回、初めて審査をクリアしたことで、同じタイプの原発を持つ東北電力や日本原子力発電の原発に対する審査が加速するとみられる。

(小倉健太郎)

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