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ポゼッション・サッカーは過去のものではない
サッカージャーナリスト 大住良之

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2017/10/6 6:30
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「相手よりボールを保持したからといって勝てるわけではない。ポゼッション(ボール支配)率が高ければ勝てるというのは真実ではない」

サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督の言葉が波紋を呼んでいる。

9月28日、10月上旬の2試合のメンバーを発表する記者会見の冒頭で、ハリルホジッチ監督はメンバー発表などそっちのけで、いきなり18分間の大演説をぶった。その前夜に行われた欧州チャンピオンズリーグのパリ・サンジェルマン(PSG、フランス)―バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)を引き合いに出し、ポゼッションが37.6%しかなかったPSGが3-0で勝ったのは、デュエル(1対1の競り合い)で57.4%と勝ったからだと話した。

ポゼッションのみでは意味なし

「ポゼッションのみでは全く意味がない」と、ハリルホジッチ監督は強調した。

その翌日、FC東京の安間貴義監督は「ポゼッション率を高めて失点を減らしたい。ボールを持つことで、守備の時間を短くしていきたい」と、ハリルホジッチ監督とは百八十度違うアプローチを示した。「(ポゼッション否定は)ハリルさんの個性で、あくまで一つの提案。何とも思わない」と我が道をゆくことを示した。

体は小さく、フィジカルも強くはないが、技術は高く、コレクティブに(集団として)戦うことができる――。これが日本選手の特徴であり、最近の日本代表監督はその長所を生かすために「素早いパスワーク」を主要な武器としてきた。その結果、パスの本数が多くなり、ポゼッションも高まった。

Jリーグでこうしたサッカーを徹底した形で追い求めたのが、2012年から今年7月まで浦和レッズを率いたミハイロ・ペトロビッチ前監督である。彼は「理想のサッカーは試合の大半を相手陣でボールを支配するもの」とまで公言し、引いた相手でも切り崩して得点するためのアイデアを次々と出してチーム力を高めた。その浦和の成功(なかなかタイトルは取れなかったが……)に刺激されて、Jリーグだけでなく日本のサッカーが「ポゼッション」の重要性を認識し、J2、J3のクラブのサッカーもポゼッションを大事にする方向になってきた。このような方向を追うことで、J2、J3の試合のレベルは過去数年間でかなり上がったように思う。

ただし、ハリルホジッチ監督の戦いには、Jリーグの監督とは全く違う側面がある。ワールドカップに出場するためのアジア予選の試合、そしてワールドカップで上位に行くための試合という、全く違った2種類の試合を戦わなければならないからだ。

アジア予選の大半の試合では、最初から日本が優位とみられ、相手は日本の攻撃力を警戒して守備を固める。そうした相手には、しっかりとポゼッションをして相手にカウンターのチャンスを与えないという考え方が有効であるのは間違いない。だがワールドカップでは、守りを固めなければならないのは日本となる。そしてボールを取ったとき、のんびりとポゼッションをしていたのでは、相手ゴールにたどり着くことなどできない。

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