被災児童ケア「浜風の家」閉館へ 土地契約切れ年内で
阪神大震災後に藤本義一さんら開設 移転など可能か検討

2017/10/4 13:30
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 1995年の阪神大震災後、被災児童のケア施設として建てられた「浜風の家」(兵庫県芦屋市)が年内で閉館する。作家の故藤本義一さんらの呼びかけで99年に開設し、遊びを通じて子供たちを見守り、地域に親しまれてきたが、土地を無償貸与する県との契約が期限を迎える。惜しむ声は多く、運営法人は「支援者らの思いを継いでいきたい」と移転などが可能かどうか検討している。

「浜風の家」で遊ぶ子どもたち(兵庫県芦屋市)

 「中庭から見える海の景色が好き。ここで友達もたくさんできた」。9月上旬、浜風の家で遊んでいた女児(5)は笑顔を見せた。施設は芦屋市の海側にあり、ログハウス風の2階建て。ピアノが置かれた集会室や図書室があり、中庭には滑り台やブランコなどの遊具が並ぶ。

 大震災では親や友達が犠牲になる悲痛な経験をした子供も多かった。「心のケアの拠点を作ろう」。自らも被災した藤本さんや医師らの呼びかけに対し、約1億5千万円相当の寄付が集まった。県有地を借りて施設を建設し、社会福祉法人「のぞみ会」(芦屋市)が運営を担った。

 施設は地域に開放され、多くの子供が訪れた。音楽に合わせて体を動かす「リトミック」に取り組んだり、人形劇で遊んだり――。ケアが必要と感じた子供には医師がじっくり耳を傾けた。開館当時から携わる古賀裕史理事は「心に深い傷を負った子も、様々な催しへ参加するうちに表情が明るくなった」と話す。

 被災児童が成長し巣立った近年は子供の遊び場のほか、地域住民の憩いの場としての役割も担う。一方、毎年1月17日には追悼行事を兼ねた防災イベントを開催。防災知識を学んだり被災者が実際の体験を語ったりしており、運営スタッフは「あの日に何があったのかを語り継ぎ、災害への備えを忘れないよう努めてきた」と力を込める。

 県との借地契約は年間賃料約140万円だったが、法人の財政の厳しさから2004年から無償に。15年4月だった期限も3年延長された。法人は再延長を希望するが、県は「特定団体を優遇し続けるのは公平性に欠ける」と更地にして返還するよう求めている。

 法人は今年12月23日の閉館を決める一方、移築などでの事業継続も模索する。法人理事長で藤本さんの妻、統紀子さんは「子供たちを支援するという、夫を含めた様々な人の思いを大切にあらゆる方法を考えたい」と話している。

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