2019年8月23日(金)

東レ、電池部材首位を猛追
車載向け、世界で大増産

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2017/10/4 6:30
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セパレーターで最も重視する性能は顧客ごとに千差万別だが、東レは「穴の制御を自由自在に操ることでどんな要求にも対応した製品を作り込むことができる」(君島康太郎BSF技術第1部長)という。

東レのセパレーターの主力生産拠点である那須工場(栃木県那須塩原市)

東レのセパレーターの主力生産拠点である那須工場(栃木県那須塩原市)

東レはセパレーターの技術力の高さから市場ニーズにきめ細かく対応し、パナソニックも含めリチウムイオン電池世界3強、その先の自動車メーカーとも太いパイプを築く戦略だ。だが、後ろを振り返れば、同電池の部材では上海エナジーなど中国勢の足音が聞こえている。

村松部門長は「9マイクロ(マイクロは100万分の1)まで進んだ薄膜技術の進展が想定以上に速い」ことに驚きを隠さない。東レはすでに3マイクロを達成しているうえ、安全性や生産性の高さなど大きく先行している。中国勢は中国の電池メーカーが主要顧客で主戦場も違う。だが、電池大手の値下げ要求も厳しくなっており、コスト競争になればいずれ技術力を高めた中国勢と相まみえる可能性は十分にある。

日本でもセパレーター専業のダブル・スコープが追撃態勢を整えている。東レと同じく韓国に拠点を置きLG化学などと取引を拡大中だ。営業利益率は20%以上を誇り、歩留まりはおよそ90%とされる。東レは歩留まりを明らかにしていないが、ダブル・スコープの担当者は「東レより格段に高い」と自信を示す。

20年のセパレーターの世界市場は35億平方メートルとされるが、60億平方メートルと17年見通し比3倍に成長するとの予測もある。韓国2社とパナソニックというリチウムイオン電池世界3強は20年に電力換算で計約85ギガ(ギガは10億)ワット時と15年比10倍以上の増産を計画している。自動車メーカーのEVシフトが急速に加速しており、電池需要がさらに上振れする可能性がある。

車載用電池業界では「全固体リチウムイオン電池」というセパレーターを使わない新型の開発も進んでる。そのため、東レにとって技術革新の動向を見極める冷徹な目も必要になっている。もちろん、旭化成という最強のライバルとの競争も今後一段と激しくなる。

東レがセパレーターで確実に収益を伸ばすには現在のような技術優位性を保つことは不可欠だ。そして、日韓の工場を母艦とした「メード・バイ・東レ」という生産現場の力を世界各地に展開してコストと品質で競合他社に先行できるかが重要になる。

(上阪欣史)

[日経産業新聞 10月4日付]

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