2019年9月16日(月)
トップ > 特集 > 関西発 > もっと関西 > 記事

関西発

フォローする

11月6日の電子版のリニューアルに伴い、特集「関西発」は「地域」セクションに移りました。「関西発」のコンテンツは「地域」セクションの「関西」でご覧頂けます。

大阪の「物語」世界魅了 サントリーHD鳥井信吾さん(もっと関西)
私のかんさい

2017/10/3 17:00
保存
共有
印刷
その他

サントリーホールディングス副会長の鳥井信吾さん(64)は創業者、鳥井信治郎氏の孫。2003年からサントリーの第3代「マスターブレンダー」としてウイスキーの香りや味づくりに関する総責任者を務め、大阪の食文化や風土にも一家言を持つ。

 とりい・しんご 1975年甲南大理卒、79年南カリフォルニア大院修了。80年伊藤忠商事入社、83年サントリー入社、2003年副社長、14年から現職。12~14年関西経済同友会代表幹事を務め、14年大阪商工会議所副会頭に就いた。

とりい・しんご 1975年甲南大理卒、79年南カリフォルニア大院修了。80年伊藤忠商事入社、83年サントリー入社、2003年副社長、14年から現職。12~14年関西経済同友会代表幹事を務め、14年大阪商工会議所副会頭に就いた。

大阪人の特質はそのホスピタリティーに尽きるのではないか。気質はドライというよりもウエット。踏み込み過ぎる面はあるが、誰かが困っているとさっと手をさしのべる。商人の町だから常に民の感覚で接し、行動する。これが訪日外国人には心地よい。だから今、アジア各地からたくさんの人がやって来る。

二十数年前、来阪した故ロバート・ケネディ司法長官の三女、ケリー・ケネディ・クオモさんを案内する機会があった。その時、ケリーさんから「父は日本に来て大阪が一番楽しかったと話していた」とうかがった。大阪経済界の先輩方が誠心誠意もてなしたのが伝わり、良い印象を持ってもらえたのだろう。

今後も大阪がチャーミングな地域であり続けるには豊かな食文化を抱いた町の雰囲気が不可欠だ。

巨大なカニやフグの看板に彩られた大阪ミナミの雰囲気は独特。清潔にするのは結構だが、あのごちゃごちゃとした町並みは他の地域にない財産だ。手を加えず今のままにしておけばいい。

大阪の食べ物というと「粉もん」とひとくくりにされるがもっと丁寧に説明してはどうか。たとえばたこ焼きはタウリンがたっぷり入った大阪風のクレープといった具合に。野菜も面白い。泉州の水ナスは手で割いて食べる。あんな食べ方は珍しくて楽しい。食をうまく組み合わせると大阪はもっと魅力を増す。

一時の爆買いは収まった。モノからコトへ移行し、商品ではなく体験を消費につなげる仕掛けが必要になる

お水汲みで竹筒の護符に早春の若水をいただく鳥井副会長(左)=2014年

お水汲みで竹筒の護符に早春の若水をいただく鳥井副会長(左)=2014年

大阪への誘致を働きかけている統合型リゾート(IR)はその一つだ。問題はコンテンツをどうするか。海外の有名劇団を招けば集客はできるが高額のギャラで破綻する。15年のミラノ万博でヒントを得た。9月10日の大阪デーは出足が伸び悩んだが、OSK日本歌劇団の元トップスター、桜花昇ぼるさんが真田幸村を演じるレビューが始まるとイタリア人の観客であふれた。ゲームやアニメの幸村は現地でも大人気のキャラクターだ。OSKや宝塚歌劇団のレビューは有力なコンテンツになる。

03年、関西経済同友会の水都・大阪の再生を目指す委員会が「節分お水汲(く)み祭り」を提言した時、共同委員長の1人として企画段階から関わった。北新地にある堂島薬師堂の節分行事「鬼追い」と、花街だった北新地の女性による仮装「節分お化け」を融合したもので04年が第1回。奈良薬師寺の僧侶によるお水汲みもある。

コトを軌道に乗せるにはストーリーが必要だ。実は堂島薬師堂建立には聖徳太子が関係している。ミラノ万博のレビューは幸村がポイントだった。大阪市立大学はテレビドラマで人気に火が付いた五代友厚らによって創立され、大阪大学は緒方洪庵の適塾が源流だ。

大阪には素晴らしいストーリーがまだまだ埋もれている。どんどん掘り起こして「モノからコトへ」が大阪のお家芸になることを願っている。

(聞き手は編集委員 竹田忍)

▼堂島薬師堂 聖徳太子が四天王寺を創建する際に資材運搬船が難破し、漂着した場所に建てたお堂が起源とされ、サントリーホールディングスが本社を構える「堂島」の地名もこのお堂に由来するという。「なにわの守護」として信仰を集めた。焼失や移転を経て、1999年に熱反射ガラス127枚を組み合わせ球形に仕上げた現在のお堂が完成した。

関西発をMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ

電子版トップ特集トップ


日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。