2018年7月20日(金)

豊田通商など、再生エネを水素で貯蔵

2017/10/2 17:29
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 風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを水素に変換して貯蔵する実験が相次いでいる。豊田通商川崎重工業などは11月下旬から北海道苫前町の風力発電所で実証を開始する。送電線が不足する北海道や東北地方では電力会社が再エネ事業者に出力抑制や変動緩和対策などを求めることが想定される。発電量が大きく変動するリスクを緩和することで再エネ導入量拡大につなげる狙いだ。

豊田通商や川崎重工業などは11月下旬から風力発電によって水素を製造し、温浴施設に運ぶ実験を始める(北海道苫前町)

豊田通商や川崎重工業などは11月下旬から風力発電によって水素を製造し、温浴施設に運ぶ実験を始める(北海道苫前町)

 北海道苫前町が所有する、出力2200キロワットの風力発電所「夕陽ケ丘ウインドファーム・風来望」で実験を進める。同プロジェクトは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択され、2014年から基礎的な検討を進め、このほど実証段階に移った。

 まずNTTファシリティーズが開発した予測システムで翌日の発電量を予測。風車で発生した電気から、川崎重工業製の135キロワットの水電解装置で水素を製造する。

 その後、水素にトルエンを化学反応させてメチルシクロヘキサンを生成し、液体状にして輸送しやすいようにする。発電所から10キロメートル離れた町営の温浴施設「ななかまどの館」にメチルシクロヘキサンをトラックで運ぶ。脱水素装置で水素とトルエンを分離し、水素と液化石油ガス(LPG)をボイラーで燃やし、熱源として利用する。

 用途として将来的には燃料電池車や化学工場への水素販売も視野に入る。「北海道の風力発電の潜在導入量は日本最大の1億4千万キロワットあるのに対して再エネの接続可能量は送電網の能力の関係から56万キロワットにとどまっている。水素の活用で風力発電の導入拡大に貢献する」(豊田通商)という。

 政府は40年ごろまでに再エネ由来水素を活用した水素供給システムを確立させる目標を掲げており、エネルギー関連企業が相次ぎ実証試験に乗り出している。岩谷産業東北電力などは20年度中に再エネを活用した1万キロワット級の水素製造装置を福島県浪江町に設置して実証試験を進める。

 日立製作所丸紅、みやぎ生活協同組合などと組み、物流センターの屋根の太陽光パネルから水素を作り出し、家庭の燃料電池に届ける仕組みを構築する。19年にも生協の顧客に配送を始め、30年ごろの本格運用を目指す。

 「自然放電してしまう蓄電池に比べて水素は長期利用に向く」(業界関係者)というが、いずれのプロジェクトも課題はコストだ。燃料電池や水電解装置などの製造・運用コストを下げなければならないほか、水素製造・供給の過程で生じるエネルギーロスなど、解決すべき課題は多い。

    (安田亜紀代)

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