日銀短観、景況感10年ぶり高水準 半導体・車向け好調
9月、大企業製造業プラス22
日銀が2日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス22だった。前回の6月調査から5ポイント上昇し4四半期連続で改善した。10年ぶりの高水準となり、2008年秋のリーマン・ショック後で最も高い。半導体や自動車向けの部品の生産が好調で、企業の景況感を押し上げた。人手不足などを背景に先行きは慎重な見方が多い。

業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値。大企業製造業のDIは07年9月調査以来の高さで、QUICKが集計した市場予想の中央値を4ポイント上回った。
業種別にみると、電気機械が6月調査から11ポイント改善し、11年ぶりの高さだった。業務用機械も15ポイントの大幅改善だった。円安で輸出が好調だったほか、スマートフォン向けをはじめIT(情報技術)関連の設備投資や自動車部品の生産が堅調に推移し、それを支える機械類の需要が底堅かった。石油・石炭製品や繊維でも業況改善した。
建設や不動産、小売りなどを含む非製造業の業況判断DIはプラス23で横ばいだった。宿泊・飲食サービスが前回調査から7ポイント悪化。深刻な人手不足が景況感を押し下げたほか夏季の天候不順も響いた。建設や不動産は景況感の水準としては高いものの、改善の動きが一服した。

大企業は製造業、非製造業を含む全産業ベースでは23。4期連続の改善で、07年3月以来の高さだった。
中堅企業、中小企業を合わせた全規模全産業の業況判断DIは15となり、26年ぶりの高さだった。企業の想定為替レートは今回の調査で109円29銭。6月調査に比べ1円ほどの円安・ドル高水準を想定しており、輸出見通しの改善にもつながっている。
ただ先行きに慎重な見方が多い。大企業では製造業が19と今回調査より3ポイントの景況感悪化を見込んでいる。北朝鮮のミサイル問題などを背景とした地政学リスクのほか、人手不足が業績を圧迫する懸念が根強い。
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