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ナノ繊維、ニッチを開拓 スギノマシン(フォーカス西日本企業)
超高圧水 独自の技応用

2017/9/29 2:00
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ポスト炭素繊維の本命とされる新素材、ナノファイバー(繊維)の分野で注目されている企業がある。富山県魚津市に本社を置く産業・工作機械メーカーのスギノマシンだ。超高圧で水を噴射させ、金属などを切断・洗浄する機械では世界トップに立つ。機械を売るだけでなく、コア技術を使って生み出した素材でさらなる成長を図る。

ウオータージェット技術を使ってナノファイバーを製造する(富山県魚津市)

ウオータージェット技術を使ってナノファイバーを製造する(富山県魚津市)

■各国から視察

ノズルから高圧の水を音速の約3倍で噴射し、鉄や炭素繊維強化プラスチックをバッサリ切断――。同社の本社や富山県内の事業所には「ウオータージェット技術」を視察するため、毎日5カ国程度の海外企業が訪れる。本社や事業所の入り口には訪問客の出身地を示す国旗が連日はためいている。

スギノマシンはウオータージェット技術を使った切断・洗浄機で推定7割の世界シェアを握る。自動車部品のバリ取り洗浄や医薬品の微粒化、アスベスト(石綿)の洗浄など用途は多岐にわたる。海外10カ国に11拠点を持ち、海外売上高比率が約5割を占める企業に成長した。杉野太加良社長は「用途の可能性は無限大」と胸を張る。

この技術を生かして市場開拓を進めるのが、セルロースナノファイバー(CNF)など生物由来のナノ繊維だ。硬くて軽く、炭素繊維に代わる次世代素材として期待されている。自然界に大量に存在するため、枯渇する懸念もない。

同社の技術ではセルロースやカニの甲羅などに含まれるキチン・キトサンを水に混ぜる。装置の向かい合ったノズルからこの水を超高速で衝突させ、細かく解きほぐして極細の繊維にする。薬剤を使わず水と原料で製造できるため、人体や環境に優しい。杉野岳常務執行役員は「医薬品や食品、化粧品などに使ってもらえる」と期待する。

ナノ繊維に参入したきっかけは2008年のリーマン・ショックだ。多様な業界に機械を納入していたため、それまでは景気の波に左右されにくかったが、あらゆる分野で受注が減った。

■付加価値高める

危機感を抱いた同社は「機械を売るだけでなく自社設備で開発した商品を売る」ビジネスモデルに挑んだ。競合が少なく独自のコア技術を生かせるナノ繊維に着目。09年から開発に本格着手し、11年に製品化した。

挑戦する領域はナノ素材のみにとどまらない。「人類が試されている大きなプロジェクトに貢献したい」と杉野社長が意気込むのが原子力発電所の廃炉関連分野だ。

日本原子力研究開発機構や日立GEニュークリア・エナジーと組み、原子炉内から溶け落ちた核燃料(デブリ)や構造物の取り出しに利用できる新技術を開発した。レーザー光の照射と超高圧水の噴射を組み合わせて物質を削り取る仕組みだ。ロボットの活用なども含め、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉での実用化を目指している。

地方(ローカル)から海外(グローバル)展開し、隙間市場で首位となる「グローカルニッチリーダー」を理念に掲げるスギノマシン。「少量でも付加価値が高い製品の市場」(杉野常務執行役員)をターゲットに未開拓市場を掘り起こす。(富山支局 長谷川雄大)

■洗浄機で高いシェア ロボット開発にも参入

1936年、ボイラーのパイプ内部を掃除する工具の工場として大阪で創業した杉野クリーナー製作所が前身。45年に富山県魚津市に疎開し、71年にスギノマシンに社名変更した。

超高圧水を使った切断機や洗浄機のほか、マシニングセンターやロボットも展開。2014年にドイツの洗浄機メーカーのジッペルを買収し、14年にインドに現地法人を設立した。80周年を迎えた16年に会社のロゴマークを刷新し、グローバルを表す丸みを帯びた書体に変えた。

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