もしかして私、都合のいい人? 「いい人」度チェック

優しい人だと思われたい、悪者扱いされたくない。そんな思いから、つい頼まれた雑用を笑顔で引き受けてはいませんか? あなたの「いい人」度チェックからスタートです。
真面目で優秀、でも損な役回り それが「いい人」
前回の記事「『いい人』に未来はない 脱・いい人のススメ」では、自己アピール力と業務遂行能力といった二つの軸で、職場の人たちを4タイプに分類しました。この中で最も多いタイプが、「いい人」です。
業務遂行能力が高くて誠実。小さなことによく気が付いて、周囲の人をフォローすることも忘れません。しかし、自分自身の有能さをうまく表現することができないため、ついつい損な役回りを押し付けられてしまう。それが、「いい人」の定義です。
それではまず、あなたが「いい人」かどうか、「いい人」度チェックをしてみましょう。
いくつ当てはまる? 「いい人」度チェック
自分が当てはまると感じる項目にチェックをつけ、チェックがついた数を数えてみてください。
□ 雑用でも「NO」と言えない
□ 「親切」「優しい」と思われたい
□ 人から嫌われたくない
□ 職場で対立したくない
□ 悪者扱いされたくない
□ 他人にどう思われているか気になる
□ 自己アピールが下手だと思う
□ 自分の意見を強く言えない
□ きちょうめんで、細かいことが気になる
□ マジメで責任感が強い
□ 器用で多くのことを並行してこなせる
□ 「頑張っていれば、いつか自分にもチャンスが」と信じている
詳しく解説していきましょう。
チェックが0~5個:自分の価値をうまく発揮できている人
上司や同僚、他部署の人たちと良好な関係を築けていて、自分の意見も言えるし、反映されています。適度なやりがいも感じています。
すべてがバラ色とはいえませんが、まずまず充実した会社員といえます。自信を持って「デキる人」への道を進んでいきましょう。
チェックが6~10個:典型的な「いい人」
オカシイと感じながらも、納得できないことがあります。自分の考えを伝えてみても、上司や同僚と調整するうちに妥協せざるを得なくなることがあります。同僚と比べて、「なんとなく自分は損している」と感じることも。
このレベルだと、職場のストレスがやや長引いてきます。イヤなこと、怒りを感じることがあると、数日から数週間も自分の中で解消されずに蓄積されていきます。ですから、早めにストレスケアをしたり、発散したりするように気を付けましょう。
チェックが11個以上:「いい人」を通り越して「都合のいい人」
上司や同僚、他部署の人から、本来は自分の担当ではない仕事まで頼まれていませんか? 職場の中で、誰もが担当したくないイヤな仕事を押し付けられていませんか?
本来は自分の意見や好みを主張しても許される場面なのに、発言する機会をもらえず、相手の言いなりになっていませんか? 相手の感情を害することが怖くて、言いたいこともガマンしていませんか?
周囲の人にとって「都合のいい人」は、非常に便利な存在。理不尽なことやムリなことを頼んでも、断ることがないから、安心して押し付けられる。雑用や使い走りの用事を頼んでも、怒らない。キレない。おとなしくて従順。まるで自分専用のメイドのような扱いです。同僚としての基本的人権なんか、考慮してもらえません。これではストレスがたまらないワケがない!
もしも、あなたが自分を「いい人」もしくは「都合のいい人」だと感じたら、今日から自分自身の意識と行動を変えていくことに注力してください。
その第一歩が、自分から「いい人」や「都合のいい人」を【やめると決意する】ことです。
しかしなぜ、「いい人」「都合のいい人」のままではいけないのでしょうか? その理由を少し説明しましょう。
雑用を頼まれてしまうワケ
かつて会社員をしていたころ、私は上司から次々に雑用ばかり言いつけられていました。同じ職場には同期社員が何人もいて、同僚たちは成果やスキルにつながる仕事を担当しているのに。「なぜ私ばかりが雑用を任されるの?」と思いつつも、会社のためにとガマンして自分の不満を押し殺していたのです。
ある日、雑用ばかり頼まれる、その理由が判明しました。
私がやたらと手間のかかる雑用に取り組んでいるとき、すぐ横に上司が来てこう言い放ちました。「オマエ、本当に雑用が好きだよなぁ~」。
その顔には、感謝やねぎらいの気持ちなどみじんも浮かんでいません。まるで「そんな雑用に真面目に取り組むなんて、バカだなぁ」とでも言いたげな、侮蔑と嘲笑が浮かんでいました。
一瞬、その雑用を私に押し付けた当の本人である上司を「グーで殴ったろか?」と思いましたが、その気持ちを全身全霊で抑え込みました。
まさにそのときです。「はらわたが煮えくり返る」という表現がありますが、文字通りおなかの奥からブツブツと泡が立ち、急激な腹痛に襲われました。私が壊れた瞬間でした。
こういった小さな事件がいくつも重なり、まもなく私はドクターストップがかかり、長期病欠の身となったのです。
さて、話を元に戻しましょう。なぜ、「いい人」のままでいてはいけないのでしょうか?
雑用処理だけがうまい人になりたいですか
納得できない場面でも「NO!」と言わず、意見も反論もせずにガマンして妥協することを繰り返していくと、周囲の人たちは「ひどい目に遭っても文句を言わない人なんだ」と理解するようになります。
やがて、「雑用が好きな人なんだな」と思われて、容赦なく雑用を押し付けられるようになります。彼らに罪悪感などはないのです。誰もが忙しいのだから、文句一つ言わない雑用係がいればウェルカムです。
しかし、雑用にいくら手間をかけても、そこから学べることは少ない。雑用処理がどんなに上手くなろうと、人事考課には反映されません。チャンスなど永遠にやってきません。しょせん雑用は雑用でしかないのです。やがてそのまま、職場の「万年雑用係」に固定されてしまうでしょう。
それで、満足できるキャリアといえるでしょうか? 仕事を通じて成長しているといえるでしょうか?
その間に、他の同僚たちは、もっと意味のある仕事を担当して、着々と実績とスキルを積み上げているのです。あなたがこのまま「いい人」でい続けたら、最悪自分のキャリアを棒に振ってしまうかもしれません。

だから私は、声を大にして言いたい。「いい人」「都合のいい人」から、今すぐに抜け出しなさい、と。
とはいえ、いきなり職場でワガママに傍若無人に振る舞い、「イヤなヤツ」になっていいという意味ではありません。
まずは、「いい人」から抜け出すことを自分で決意しましょう。そして、オカシイ、変だと感じたら、自分の考えを口に出してみましょう。まずはその勇気を持つのです。
初めの一歩を踏み出すことには、心配や恐怖もあるはずです。ですが、その一歩を踏み出さない限り、永遠に次のステージは見えてきません。
「いい人」度チェックで当てはまる項目が多かった人は、まず、「いい人」から抜け出すことを決意してみてください。
そこから、すべては変わっていきます。

[nikkei WOMAN Online 2017年9月19日付記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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