実りの秋に農場への旅 グランピングと収穫体験
水津陽子のちょっとディープ旅

暑い夏が過ぎ、実りの秋がやってきました。食べ物がおいしいこの季節、みずみずしい野菜や新米のおにぎりを求めて出掛けたくなります。
茨城県の南東部に位置する行方市は、霞ケ浦と北浦の2つの湖に囲まれた田園地帯にあり、日本有数のサツマイモの産地。ここにある「なめがたファーマーズヴィレッジ」は、サツマイモのスイーツ専門店「おいもさんのお店らぽっぽ」で知られる白ハト食品工業(大阪府守口市)とJAなめがたがタッグを組んで生まれた、日本初の体験型農業テーマパークです。
総面積は38万平方メートル。敷地内にはショップやカフェ・レストラン、ミュージアムのほか、自然豊かな「クワガタ・カブト虫の森」、ツリーハウスのある「和栗の森」など自然と触れ合える遊び場がたくさんあります。
単なるテーマパークではなく、白ハト食品工業の製造拠点、JAなめがたのサツマイモ貯蔵施設も兼ねているというのも面白いところ。地域農業の存続に向けた一つのモデル事業でもあるのです。


食の楽しみ満載の農場グランピング
秋の農場ではさまざまな収穫体験ができます。ヴィレッジのオリジナル品種のサツマイモ「いばらきゴールド」を収穫してたき火で焼きイモにしたり、収穫した栗でモンブランを作ったり。果物では、とったばかりのイチジクをそのまま食べるだけでなく、カリカリしたカラメルの甘さとほろ苦さが相性抜群のイチジクのブリュレを作る体験も。金色に輝く田んぼで稲刈り体験をした後、新米でおにぎりランチを作って田んぼで味わうこともできます。
夜が長くなるこれからの季節に試したいのがファームグランピング。コテージ型テントに必要な備品はそろっていて、手ぶらでもOKです。食事はヴィレッジ内のレストランも利用できますが、広大な農園を目の前にしてのバーベキューはやはり楽しいもの。安納芋を食べて育った「安納黒豚」やとれたての野菜をグリルして堪能できます。食事の前後は、木の枝に下げられたハンギングチェアでのんびり過ごしたり、子連れならツリーハウスで遊んだり。別棟のクラブハウスにはトイレ、シャワー施設が完備し、ゆっくりくつろぐこともできます。夜はキャンプサイトから満天の星空を眺められます。



グランピングのサイトがある和栗の森エリアでは、10月末までの土日祝日(10月9日、22日を除く)の午前11時から午後5時まで、「秋の味覚と地ビールの祭典・オクトーバーフェスト」が開催されています。安納黒豚と黒毛和牛を使った一日10食限定の「ごちそうバーガー」、「タコと旬野菜のアヒージョ(おいもバゲット付き)」など旬食材を使った料理と、地元茨城のクラフトビール、農園で収穫したフルーツを使ったドリンクなどが提供されています。
おイモ好きにはこたえられない工場見学
ショップやレストランが入る商業棟は、廃校になった小学校の校舎を利用していてなつかしい雰囲気。施設内にある「やきいもファクトリーミュージアム」は、白ハト食品工業の製造工場も併設しているので工場見学ができ、焼きイモや大学イモが試食可能です。
1階にあるショップ「ファーマーズマルシェ」には、地元農家の直送野菜や様々な品種のサツマイモが勢ぞろい。干しイモBar「おいも熟成蔵」では、熟成干しイモの食べ比べ(有料)ができます。「らぽっぽファームベーカリー」は、不老長寿をコンセプトにしたおイモと野菜たっぷりのパンが豊富。ほかにも、工場直送大学イモの詰め放題コーナーもあって人気です。


2階のイタリアンレストラン「ファームトゥザテーブル」は、ヴィレッジ内の農園や地元農家の野菜を使ったパスタやピッツァ、つくば鶏や常陸牛など茨城のブランド肉のグリルが味わえます。野菜の栄養を賢くとる料理法でたくさん食べるダイエットを提唱しており、スープ&サラダバーは女性に人気があります。
ヴィレッジへは、東京から公共交通利用の場合、高速バスで水郷潮来バスターミナルまで行って路線バスに乗り換えるか、JR潮来駅まで行って路線バスを利用する方法があります。
合同会社フォーティR&C代表。経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究などを行う。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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