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若手登竜門、OBが恩返し(カルチャー)
兵庫PAC定期演奏会 節目の100回

2017/9/29 17:00
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2005年に発足した兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)の定期演奏会が、10月6~8日の公演で100回の節目を迎える。芸術監督の佐渡裕に率いられ、演奏家育成の役割も果たしてきた。卒団者は国内外のオーケストラで活躍。客演奏者として里帰りし、後輩たちを鍛える好循環は全国的にも珍しい。

9月の定期演奏会には元団員も多く参加した=兵庫県立芸術文化センター提供、飯島 隆撮影

9月の定期演奏会には元団員も多く参加した=兵庫県立芸術文化センター提供、飯島 隆撮影

PACは演奏家の育成を目的の一つに掲げる。1995年の阪神大震災から10年を経て、兵庫県立芸術文化センター(西宮市)が文化復興の象徴として開館したのに合わせ、楽団も設立された。入団時の年齢は35歳以下、在籍期間は最長3年と定める。欧米などでもオーディションを開き、奏者が毎年入れ替わる。

9月15日の第99回定演初日、同センター大ホールのステージにソリストを含め108人の奏者が並んだ。欧米に倣い秋に新シーズンを迎えるPACの開幕戦。佐渡が指揮したメシアンの「トゥーランガリラ交響曲」は濃厚な10楽章から成る大曲だ。計10人が必要な打楽器をはじめ、多くの卒団者が脇を固めた。

現在、名古屋フィルハーモニー交響楽団でティンパニ&打楽器首席を務めるジョエル・ビードリッツキーもそのひとり。PACに在籍した11年9月から14年2月までを「トレーニングオケなのに絶えず仕事があり、音楽に集中できた」と振り返る。

音楽に専念できるのは、県立ホールの専属楽団として演奏機会が豊富なため。08年9月以降、定演は1回で3日連続。1日だけや2日連続が主流の他楽団と一線を画す。オペラは毎年、1週間を超えるロングランを続けるのも当然だ。ビードリッツキーは「プロはパフォーマンスにバラツキがあってはダメで、同じ水準を維持するのが大切。定演3連続は困難だったが、とても鍛えられた」。

オーディションで選ばれた団員のソロ公演「リサイタルシリーズ」や弦、木管、金管、打楽器などパートごとのアンサンブル「室内楽シリーズ」と、団員の活躍の場は定演にとどまらない。現在は香港シンフォニエッタ打楽器奏者で、08年9月から約3年間在籍した小山理恵子は「室内楽シリーズはチャレンジングな企画を提案し、合宿さながらに練習した」と懐かしむ。

第一線の奏者に学ぶ機会も多い。これまでウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団など、世界的な楽団から第一級の奏者を招請。演奏に加わるほか、マスタークラスも開講し指導にあたる。米国のチャタヌーガ交響楽団で打楽器首席を務めるチャド・クランメル(13年9月~16年7月在籍)は「先生が周りの音をどう聞き、反応するかを隣で感じながら一緒に演奏した経験が非常に役立っている」と話す。

9月の定演ではヴィオラのトップ・プレーヤーもPAC発足時のメンバー、石橋直子(現・名フィルヴィオラ首席)が務め、パートをリードした。石橋は「今があるのはPACの経験あってこそ」と恩返しの気持ちを語る。第100回定演でも、発足時に所属した東京交響楽団チェロ首席の西谷牧人をトップ・プレーヤーに招く。

こうした楽団の活動も、世界的な名声を確立している佐渡の存在あってこそ。節目の公演ではバルトークなどを取り上げるが「特別なプログラムは考えなかった。いつも全力投球で、良い演奏を目指すだけ」と佐渡は自然体を強調する。毎年多くの団員が入れ替わり、楽団らしいカラーや演目が定着しにくい側面はあるが、佐渡は「PACを経験した奏者が客演として周りを固め、オケとしてのレベルは着実に上がる」と自信を見せる。常に変化し、成長していく。PACならではの魅力だ。

(大阪・文化担当 西原幹喜)

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