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忘れられていた観光資源 淀川の舟運復活(1)
軌跡

2017/9/25 17:00
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かつて京都と大阪を結ぶ交通の大動脈は淀川の舟運だった。京都・伏見と大阪・八軒家の間(約40キロメートル)を三十石船が往復、江戸末期には1日に1500人、800トンの荷物が運ばれたという。明治以降も蒸気船が行き交ったが、鉄道、道路が整備されると舟運は衰退した。その舟運を復活させる動きが活発になっている。

八軒家―枚方間で今月から観光船の定期運航が始まった

八軒家―枚方間で今月から観光船の定期運航が始まった

9月10日、枚方市と八軒家を結ぶ定期観光船の運航が始まった。枚方市で毎月第2日曜日に開かれる「五六市」に合わせた運航だが、関係者の期待は大きい。事業化した大阪水上バスの久ノ坪宏司社長は「外国人観光客が増えた大阪中心部のにぎわいを淀川の舟運に波及させたいという行政からお話をいただいた。航路確保などで応援してもらえる態勢ができた」と語る。

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初運航の日は好天だった。八軒家の船着き場を出発してしばらくは川砂利の集積場や川船のドックなど陸側からは見えない風景が続く。大川と淀川本流の水位の違いを調整する毛馬閘門(こうもん)の通過体験は前半の大きな見せ場だ。1.5メートル程度水位が高い淀川に入ると川幅が一挙に広がり、視界が開けた。大阪都心部の高層ビル群が一望できる。「見事な景色だなあ」。乗船客から感嘆の声が上がった。

明治の河川改修時、水深確保のために流れを制御して作った閉鎖水域(わんど)が今も残る。水道水の取水口や洪水対策施設が次々に現れる。不定期観光船などで「淀川舟運語り部」を務めてきた●永(木へんに船のつくり、まつなが)正光さんは「淀川の堤防は過去230回くらい洪水で壊れてきた。対策の重要性も知ってほしい」と力を込めた。船旅は淀川の治水、利水の歴史を知る機会にもなった。

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淀川の舟運が見直されたきっかけは阪神大震災だ。道路が寸断、鉄道も機能しない中、水上交通に目が向けられ、9カ所に緊急用船着き場が整備された。それを観光にも活用するため、今回枚方には看板が設置された。江戸時代、風光明媚(めいび)な光景から多くの文人・画家を魅了した淀川の舟行。長く顧みられなかった観光資源のすばらしさを多くの人が実感できれば、本格復活の動きが加速するかもしれない。

編集委員 堀田昇吾が担当します。

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