グリーンBiz

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

鹿島、環境配慮型コンクリの欠点改良 用途広く

2017/9/26 6:30
共有
保存
印刷
その他

 鹿島が環境に配慮したコンクリートの利用を広げている。同社が開発したコンクリートは製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を一般的なコンクリートと比べ25%削減。コストや性能もこれまでと同等な点もアピールし、施工物件で採用を拡大していく考えだ。

■環境配慮型は耐久性などへの懸念から用途が限られていた

 コンクリートはセメントや骨材、水を混ぜ合わせてつくる。このうちセメントは主原料である炭酸カルシウムをセ氏1000度以上の温度で燃焼させてつくられる。セメント製造時に排出されるCO2は1トンあたり750キログラムと、鉄筋コンクリート製の建物を施工する際に排出するCO2総量の42%を占め、温暖化対策の面で課題となっていた。

 CO2排出を削減するにはセメントの使用量を減らすのが有効だが、コンクリートに占めるセメントの含有率を下げ過ぎると、鉄筋がさび付いて建物の耐久性が下がるおそれがあった。空気との接触を通じてコンクリートのアルカリ性が弱まる「中性化」という現象が起きやすくなるためだ。セメントの量を減らしすぎると耐久性に影響が出かねず、このバランスをうまく取るのが業界各社の課題だった。

「エコクリートBLS」の打設風景
画像の拡大

「エコクリートBLS」の打設風景

 また中性化以外にも性能面で様々な問題がある。例えば夏の高温時には乾燥収縮によってひび割れが生じるおそれもある。そのため、これまで開発されてきた環境配慮型のコンクリートは建造物の地下部分など一部での利用に限られていたという。

 鹿島が新たに開発した「エコクリートBLS」はセメントの代わりに製鉄所の廃棄物である高炉スラグを含有してCO2の排出量を削減しつつ、従来の環境配慮型コンクリートよりはセメントの分量を多めに維持することで中性化のリスクを減らした。さらにセメント以外のコンクリート材料を工夫することで、これまで難しかった地上部分でも適用できるようにした。

 ひび割れを防ぐために使われる膨張剤と共通の成分を含むカルシウム系の混和材を導入。乾燥収縮によるひび割れのリスクも軽減したという。

■材料コストも一般的なコンクリートと同等

 材料コストは一般的なコンクリートと同等に抑えた。ひび割れを防ぐために膨張剤を使ったコンクリートよりは低価格で「環境性能、品質、経済性を同時に追求した材料として需要が見込める」と、鹿島技術研究所の閑田徹志主席研究員は指摘する。

鹿島が「エコクリートBLS」を適用した山桜の東京支店(東京・文京)
画像の拡大

鹿島が「エコクリートBLS」を適用した山桜の東京支店(東京・文京)

 エコクリートBLSは今年5月末に完成した名刺などを扱う山桜(東京・中央)の東京支店(同・文京)で、約600立方メートルの地上部分全てに採用。コンクリートの打設から10カ月以上経過したが、ひび割れのない良好な状態を維持できているという。

 既に都内の生コン工場3拠点で出荷体制が整った。「大手不動産会社を中心に、環境に配慮したコンクリートを採用する機運が高まっている」(閑田氏)といい、鹿島は建築工事で使うコンクリートのうち年間5%程度をエコクリートBLSに置き換えていきたい考えだ。

 鹿島は地下用の環境配慮型コンクリート「ECM」も竹中工務店などと共同で開発済み。ECMの活用で地下部分でのCO2排出量を60%低減できる。同じ建築物で地上はエコクリートBLS、地下はECMを用いれば全体で40%の削減が可能とみている。

 同社は30年までに、施工時に出る温暖化ガスを1990年度比で35%減らす目標を掲げる。目標達成には環境配慮型のコンクリートを現場でどれだけ普及させられるかがカギを握りそうだ。

(企業報道部 寺井浩介)


「日経産業新聞」をタブレットやスマートフォンで

 全紙面を画面で閲覧でき、各記事は横書きのテキストでも読めます。記事の検索や保存も可能。直近30日間分の紙面が閲覧可能。電子版の有料会員の方は、月額1500円の追加料金でお読み頂けます。


人気記事をまとめてチェック

「テクノロジー」の週刊メールマガジン無料配信中
「テクノロジー」のツイッターアカウントを開設しました。

グリーンBizをMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

【PR】

グリーンBiz 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

カルビー子会社のカルネコは店頭販促物を1枚から受注生産し無駄を省く

カルビー、店頭販促物は使う分だけ作ってエコ実現 [有料会員限定]

 食品メーカーにとって生命線ともいえるポスターやじゅう器などの店頭販促(POP)ツール。最大のポイントは使用するPOPの数を抑制しながら最大限の効果を引き出すことだ。作りすぎれば販売コストがかさみ環境…続き (10/17)

TBMとNEDOが共同で開発したバイオマス発電車

排水から回収した油脂が燃料 バイオマス発電機搭載車 [有料会員限定]

 環境技術ベンチャーのティービーエム(TBM、埼玉県所沢市、佐原邦宏社長)がバイオマス発電車を開発した。荷台の上に発電機を乗せ、飲食店などから出る排水から回収した油脂を使って発電する。プロジェクトが軌…続き (10/10)

三菱マテリアルの直島製錬所は金属スクラップを炉で溶かして有価金属を抽出する(香川県直島町)

三菱マテ、「都市鉱山」世界一へ 買い取り査定力磨く [有料会員限定]

 「都市鉱山」と呼ばれる使用済み家電やスマートフォン(スマホ)などの電子機器の廃基板。金や銀、銅など様々な金属が効率よく取り出せると、世界中で争奪戦が過熱している。三菱マテリアルは計120億円を投じて…続き (10/3)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

TechIn ピックアップ

10月23日(月)

  • テクノロジー企業の成長率ランキング2017~1位は売上高成長率1,252%のココナラ【トーマツ調査】
  • 「プライヴァシーの死」とGDPR:メディア美学者・武邑光裕による新連載「GDPR:データとインターネット〜EUが描く未来」
  • Face IDは今後の生体認証スタンダードになるか?

日経産業新聞 ピックアップ2017年10月24日付

2017年10月24日付

・フィットビット、日本で企業向け開拓 まず三菱自健保向け健康管理
・星明かりでも高感度撮影 キヤノン、ネット対応カメラ
・ゴム、輪状化合物で強く 東工大
・日本ガイシ、低レベル放射性廃棄物の重さ50分の1に
・世界のEV普及、2025年から加速…続き

[PR]

関連媒体サイト