2018年8月21日(火)

鹿島、環境配慮型コンクリの欠点改良 用途広く

コラム(ビジネス)
2017/9/26 6:30
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 鹿島が環境に配慮したコンクリートの利用を広げている。同社が開発したコンクリートは製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を一般的なコンクリートと比べ25%削減。コストや性能もこれまでと同等な点もアピールし、施工物件で採用を拡大していく考えだ。

■環境配慮型は耐久性などへの懸念から用途が限られていた

 コンクリートはセメントや骨材、水を混ぜ合わせてつくる。このうちセメントは主原料である炭酸カルシウムをセ氏1000度以上の温度で燃焼させてつくられる。セメント製造時に排出されるCO2は1トンあたり750キログラムと、鉄筋コンクリート製の建物を施工する際に排出するCO2総量の42%を占め、温暖化対策の面で課題となっていた。

 CO2排出を削減するにはセメントの使用量を減らすのが有効だが、コンクリートに占めるセメントの含有率を下げ過ぎると、鉄筋がさび付いて建物の耐久性が下がるおそれがあった。空気との接触を通じてコンクリートのアルカリ性が弱まる「中性化」という現象が起きやすくなるためだ。セメントの量を減らしすぎると耐久性に影響が出かねず、このバランスをうまく取るのが業界各社の課題だった。

「エコクリートBLS」の打設風景

「エコクリートBLS」の打設風景

 また中性化以外にも性能面で様々な問題がある。例えば夏の高温時には乾燥収縮によってひび割れが生じるおそれもある。そのため、これまで開発されてきた環境配慮型のコンクリートは建造物の地下部分など一部での利用に限られていたという。

 鹿島が新たに開発した「エコクリートBLS」はセメントの代わりに製鉄所の廃棄物である高炉スラグを含有してCO2の排出量を削減しつつ、従来の環境配慮型コンクリートよりはセメントの分量を多めに維持することで中性化のリスクを減らした。さらにセメント以外のコンクリート材料を工夫することで、これまで難しかった地上部分でも適用できるようにした。

 ひび割れを防ぐために使われる膨張剤と共通の成分を含むカルシウム系の混和材を導入。乾燥収縮によるひび割れのリスクも軽減したという。

■材料コストも一般的なコンクリートと同等

 材料コストは一般的なコンクリートと同等に抑えた。ひび割れを防ぐために膨張剤を使ったコンクリートよりは低価格で「環境性能、品質、経済性を同時に追求した材料として需要が見込める」と、鹿島技術研究所の閑田徹志主席研究員は指摘する。

鹿島が「エコクリートBLS」を適用した山桜の東京支店(東京・文京)

鹿島が「エコクリートBLS」を適用した山桜の東京支店(東京・文京)

 エコクリートBLSは今年5月末に完成した名刺などを扱う山桜(東京・中央)の東京支店(同・文京)で、約600立方メートルの地上部分全てに採用。コンクリートの打設から10カ月以上経過したが、ひび割れのない良好な状態を維持できているという。

 既に都内の生コン工場3拠点で出荷体制が整った。「大手不動産会社を中心に、環境に配慮したコンクリートを採用する機運が高まっている」(閑田氏)といい、鹿島は建築工事で使うコンクリートのうち年間5%程度をエコクリートBLSに置き換えていきたい考えだ。

 鹿島は地下用の環境配慮型コンクリート「ECM」も竹中工務店などと共同で開発済み。ECMの活用で地下部分でのCO2排出量を60%低減できる。同じ建築物で地上はエコクリートBLS、地下はECMを用いれば全体で40%の削減が可能とみている。

 同社は30年までに、施工時に出る温暖化ガスを1990年度比で35%減らす目標を掲げる。目標達成には環境配慮型のコンクリートを現場でどれだけ普及させられるかがカギを握りそうだ。

(企業報道部 寺井浩介)

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