どこで活動してもミッションは変わらない
SVホルン 前CEO神田康範

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2017/9/25 6:30
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ここから先については、今シーズンがいろいろなことを判断する1年になると思っています。昨季2部で最下位に終わったSVホルンは現在3部で戦っていますが、経営破綻するクラブが2部にざらにあるオーストリアリーグの経営環境は3部のクラブにはさらに厳しいのが実情です。経営を任された地元サイドから自立に向けた動きが活発に出て、われわれの持ち出しに頼るだけの構造から脱皮できたら、われわれも身の丈に合った投資を続けることになるかもしれません。この1年、どういう判断をすることが最善なのか、時間をかけて見定めたいと思っています。

2年間の教訓、今後に生かす

われわれが思い描くピラミッド型の選手育成システムに変わりはありません。小学生のスクールをベースにジュニアユース(中学生年代)、ユース(高校生年代)のチームを持ち、ピラミッドの頂点には日本やアジアと欧州の懸け橋になるクラブを持つ。これまではその頂点にSVホルンをイメージしてきたわけですが、今後の海外進出にはこの2年間の教訓をしっかり生かしたいと思っています。

実際、全体的な世界戦略の見直しの中で、新たな胎動があります。我々は既にカンボジアでクラブ経営に参画し「ソルティーロ・アンコールFC」として軌道に乗せました。今季の2部から来季は1部で戦えそうです。さらに、アフリカのウガンダの首都カンパラ市にある「ブライト・スターズFC」(同国プレミアリーグ1部所属)を買収し経営することも9月11日に正式発表しました。

ほとんどの日本人にとってウガンダは、なじみのない国だと思います。私も6月末に本田に同行して訪ねたのが初めてのウガンダ行きでした。驚いたのは結構、日系企業が進出していて、街中には日本の中古車があふれていたことです。乗り合いタクシーとしてハイエースが大活躍し、公共の交通機関として人々の貴重な足になっていました。

アフリカのサッカーといえば、モロッコやアルジェリアなど地中海に面した国々やガーナ、ナイジェリアなど西アフリカに強国が多い。それに比べて東側のウガンダのサッカーはいまひとつ。エチオピアやケニアも陸上の長距離ほどサッカーは強くない。そういう事情をリサーチしながら選手育成である意味、成熟している西アフリカよりも、東側の方が未知の部分がある、まだまだ手つかずの面があって費用負担も軽く、そのポテンシャルに懸けてみようという気になったのです。

一筋縄でいかないのは織り込み済みです。ウガンダでは日本大使館や国際協力機構(JICA)、日系企業の関係者にお世話になりました。ウガンダサッカー協会の会長とも本田は面談しました。しかし、予定に組み込んだスケジュールの半分はその日になってキャンセルされました。日本みたいに物事は運ばないと早速思い知らされたわけです。

こちらではクラブの共同経営を考えています。経営の主導権を握りすぎると地元の反発を招いてしまう教訓をホルンで学んだからです。今度はオーナーとうまく連携しながら、選手育成やチーム強化の部分で責任を大きく持ってやりたいと思っています。

ウガンダには、まさに「原石」と呼べる選手がごろごろいました。そんな選手を5年、10年かけてプロの選手に磨き上げる。勝負できるレベルに達したらSVホルンのようなクラブを経由して、さらに大きなクラブに送り込む。この人材供給のプランは欧州にハブとなるクラブがないと難しいのかもしれません。

我々はグループとして引き続き、夢や目標を持つこと自体が難しい環境に置かれている地域の子供たちに、夢を具体的な目標に置き換えて努力を重ねることの大事さを伝えていきたいと思っています。どこで活動してもそのミッションだけは変えない。そのことを約束してこの連載を終えたいと思います。

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