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大阪府営住宅、巣立ちの場 ニートや失業中の若者支援
仲間や地域と交流

2017/9/20 14:13
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 公営住宅の空き部屋を活用した大阪府の若者向け就職支援プロジェクトが注目を集めている。「ニート」や失業中の若者が自活し、似た境遇の人と交流したり、住民と自治会活動をしたりする。高齢化が進む公営住宅側にとっても、地域の活性化が期待できる。担当者は「若者を社会で支えるモデルにしたい」と話す。

府営住宅を改装したコミュニティスペースで談笑する、就労支援を受けている若者(大阪府四條畷市)
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府営住宅を改装したコミュニティスペースで談笑する、就労支援を受けている若者(大阪府四條畷市)

 「接客も向いてそうだよね」「前の会社はなんで辞めたん?」。7月下旬、同府四條畷市にある築46年の府営清滝住宅。リノベーションされた部屋で20代の男女が和気あいあいと話していた。6~7月から同住宅でそれぞれ一人暮らしをしており、共同スペースに集まって食事やおしゃべりをして過ごす。

 府と日本財団(東京・港)、NPO法人「スマイルスタイル(スマスタ)」(大阪市)が共同で企画した住宅付き就職支援プロジェクトだ。離職を繰り返すなどして失業中の39歳以下の単身者を募り、22~34歳の男女9人を選んだ。2019年3月まで無償で部屋を貸し、面接指導をするなどして求職活動を支える。

 国の調査(12年)によると、府内で仕事や通学をしていない若年無業者(ニート)は約4万3千人と東京、神奈川に次いで多い。非正規雇用の割合も、15~34歳は府内で37.2%と全国平均(35.0%)を上回る。

 企画に関わった府就業促進課の山本恭一課長補佐(53)は「親元から離れて自活すればより真剣に『働くこと』に向き合うはず。公営住宅では近所付き合いもあり、コミュニケーション力も身につく」と狙いを語る。

 四條畷市出身の間嶋大稀さん(24)は大学中退後、実家でニート状態だった。府のプロジェクトに応募した理由について「動き出すきっかけをつかみたかった」と振り返り、「ここならスタッフや仲間の応援があるので頑張れそう」と興味のあった飲食業でアルバイトも始めた。

 「もの作りに向いていると思う」。同府豊中市出身の男性(26)は出会った仲間から手先の器用さを驚かれた。大学卒業後に通った専門学校や学習塾での仕事は長続きしなかったが、「たわいない会話の中で自分の適性に気付いた」。男性は製造業の企業から正社員の内定を得て、7月末に府営住宅を“卒業”した。

 同住宅は老朽化や駅からの遠さが敬遠され空き部屋が目立ち、65歳以上の高齢者の入居率は5割を超える。低迷する自治会の活動を活性化しようと、若者らは月1回の清掃に参加。今夏の祭りではやぐらやテントも設営した。自治会長の竹村国助さん(76)は「若い人に力仕事を任せられとても助かる」と喜ぶ。

 スマスタの理事、箭野美里さん(28)は「若者の自立や公営住宅の高齢化は全国各地で共通している課題。府のプロジェクトをモデル事例として全国に広めたい」と話している。

 ▼ニート 「学校に行かず、仕事もせず、職業訓練も受けていない」という意味の英語(Not in Education,Employment or Training)の頭文字をつなげた言葉。日本では15~34歳の若年層を指す。
 長引く不況に伴う就職難などを背景に2000年代前半から社会問題として注目され始めた。国の17年版「子ども・若者白書」によると、ニートを含む若年無業者数は約77万人。国や自治体は職業訓練や面接指導など支援策を打ち出している。

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