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ハリルJ、レベルアップへ重要な「秋の陣」
サッカージャーナリスト 大住良之

(2/2ページ)
2017/9/22 6:30
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オーストラリア戦の日本の勝利の原動力は、最前線の3人(浅野拓磨、大迫勇也、乾貴士)とその背後でプレーしたMF山口蛍と井手口陽介の圧倒的な運動量だった。守備面で相手を追い回し、激しくプレスをかけ続けるとともに、攻撃に転じたときには前へ前と走り、相手ゴールを脅かした。ポイントはスプリントを繰り返す運動量である。ハリルホジッチ監督が目指すスタイルでは、90分間でただ長い距離を走るのではなく、スプリントを繰り返す力が必要になる。

ハリルホジッチ監督が目指すスタイルでは、90分間スプリントを繰り返す力が必要になる=共同

ハリルホジッチ監督が目指すスタイルでは、90分間スプリントを繰り返す力が必要になる=共同

特に重要なのは、自分が担当すべき相手にパスが出たときの「アプローチ」の速さ、そして味方がボールを奪った瞬間のタイミングを逃さない走りである。前者がなければプレスに効果がなくなり、後者ができなければ効果的な攻撃ができない。オーストラリア戦の82分の2点目を振り返ると、それがよくわかる。

ゴールキックからパスをつないでビルドアップを図るオーストラリアに、日本はプレスをかけるタイミングを計る。そしてMFアーバインにパスが出た瞬間、井手口が鋭い出足で詰める。アーバインが横にサポートしてきたルオンゴに出そうとしたパスを狙っていたのが原口元気だ。出足鋭くパスをカットする。井手口は一瞬アーバインからルオンゴへのパスを追ったが、原口がボールを奪うと見ると、そのまま足を止めずに左のスペースに走る。相手に囲まれながらも原口がパス。受けた井手口はスピードを上げ、急激に方向を変えてドリブルで中央に入り、右足を振り抜いてワールドカップ出場を決定的にするシュートをたたき込んだ。

こうした「アプローチ」や「スペースへのスプリント」を90分間切らせないサッカーこそ、ハリルホジッチ監督が求めていたものだった。

そしてそうしたサッカーをするには、井手口が示したように年齢も所属リーグも関係がない。確かにオーストラリア戦に先発、あるいは交代で出場した14人のうち11人が「欧州組」で、「国内組」はG大阪所属の井手口とDF昌子源(鹿島)、MF山口(C大阪)の3人だけだったが、これからはこれまでの実績も関係なく、すべての面でオープンになる。その意味では10、11月の4つの親善試合も12月のE1も違うところはない。

これからの試合で、ハリルホジッチ監督の要求を理解しつつひるむことなく自分の持ち味を出せる選手がどんどん出てきてほしい。ワールドカップへの門は、すべての日本のサッカー選手の前に開かれている。現時点でアマチュアの選手が来年のワールドカップの舞台に立っている可能性もゼロではない。

「正しい姿勢」でアピールしてこそ

成長著しい磐田の川辺(右)らが来年のワールドカップに絡めるようになるか=共同

成長著しい磐田の川辺(右)らが来年のワールドカップに絡めるようになるか=共同

間違ってはいけないのは、「正しい姿勢でアピールすること」だ。ワールドカップ出場が決まると、「アピール」が標語のようになっていく。その言葉に乗せられて、これまでの大会ではいたずらに個人プレーに走り、自分自身を見失うばかりではなく、日本代表のチームプレーのリズムを壊してしまう選手も少なくなかった。メディアのあおりに踊らされず、あくまでもハリルホジッチ監督が求める役割をいかに高いレベルで果たすかに集中しなければならない。

いま、私が気になっている選手を一人だけ挙げておきたい。ジュビロ磐田のMF川辺駿(22)だ。広島のユース出身で、本来は広島の選手だが、期限付きで磐田に貸し出されて3シーズン目。今季は名手MF中村俊輔の加入で大きな刺激を受け、攻守両面で大きく成長、中盤で井手口ばりのプレスをみせたかと思うと、果敢に最前線に飛び出してシュートを狙う。こうした選手が来年のワールドカップに絡めるようになったら、日本代表の成長曲線はさらに上向きになるに違いない。

楽しみな「秋の陣」が始まる。

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