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もっと関西 京丹後で「音のある芸術祭」(アート)
多彩な表現 自然と共鳴

2017/9/15 17:00
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京都府京丹後市を舞台に音のアート作品を集めたアートイベント「音のある芸術祭」が24日まで開かれている。音の作品を中心とした芸術祭は非常に珍しい。2014年に続く2回目となる今回は国内外の12作家が参加。様々な音の表現が京丹後の豊かな自然に溶け込んでいる。

音楽室だった部屋を利用したフィオナ・リーの「カリカリの渦」(京都府京丹後市)

音楽室だった部屋を利用したフィオナ・リーの「カリカリの渦」(京都府京丹後市)

9日、地元のローカル線、京都丹後鉄道の車両1両を借り切り、芸術祭のオープニングイベントが開かれた。サウンドアーティストの先駆として長く活動し、現在は京丹後で活動する鈴木昭男やダンサーの木村玲奈、ギタリストの山崎昭典、香港のダンサー、アルミミ・ヒフミらがパフォーマンスを披露。約60人を乗せた車両は網野駅と豊岡駅の間を往復した。

メイン会場は市内の旧郷小学校。廃校となった校舎のあちこちで作品を鑑賞できる。校庭で展示されるのは沖縄出身の作家、大城真の「チャージ・アンド・ディスチャージ(ソーラー/リング)」。ソーラーパネルの充電が完了すると、カーンと乾いた音が響く。「太陽光を音に変換する試み」と大城は言う。大城は校舎内の一室で別の作品「ストリングス」も展示。スピーカーの音が発する振動を光と組み合わせた。音が光に変換されたり、干渉しあったりする面白さがある。

ソーラーパネルを使った大城真の「チャージ・アンド・ディスチャージ」

ソーラーパネルを使った大城真の「チャージ・アンド・ディスチャージ」

かつて音楽室だった部屋では香港のフィオナ・リーが「カリカリの渦」を展開する。窓のそばを通る京都丹後鉄道に想を得て、電子オルガンで踏切の音を再現。フィルムのオープンリールが回る音も聞こえる。窓辺では小さなカリカリという音も。ネットに入れた木材の中でカミキリムシの幼虫が木をかじる音だ。「この地域ならではの面白い音で構成した作品を体感してほしい」とリーは言う。

階段室で展示される木藤純子の「サウンド・オブ・サイレンス"Mの風景"」や三原聡一郎の「空気の研究」も音の面白さを教えてくれる作品だ。

音のある芸術祭は鈴木昭男が京丹後に拠点を移したのを機に、交流があった国内外の作家たちが集まったことで企画が動き出した。鈴木の半世紀にわたる活動を振り返るパネル展示は音のアートの歴史でもある。「音のアートは常に進化している。若手の作品が特に面白い」と鈴木は言う。

このほか、市内の峰山地区を作家たちが一般の参加者と歩いて音を探す企画「峰山まち音あるき」なども実施。会期最終日の24日には「アートキャンプ in 丹後」と題し、作家たちが市内各地で即興的なパフォーマンスを見せる。

今や各地に乱立する芸術祭だが、音の作品を前面に打ち出したイベントは非常に珍しい。「京丹後は映画館や劇場、ミュージアムなどの文化施設は少ないが、豊かな自然の中に溶け込む音の作品がアートの持つ力を再認識させてくれる」と芸術祭を企画したキュレーターの1人、宮北裕美は言う。今後の開催は未定だが、ぜひ次回も多彩で魅力的な音のアートに触れてみたい。

(大阪・文化担当 田村広済)

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