2017年11月23日(木)

急成長のひずみ大丈夫? SUBARU「CQO」に聞く

2017/9/13 6:30
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 SUBARU(スバル)が品質管理の体制の強化に動き出した。2016年度の世界販売台数は5年前と比べて約7割増の106万台となった。急成長のひずみが製品の品質で顕在化することに危機感を抱く。このため今年度から新たにCQO(最高品質責任者)を置き、品質の向上を目指している。CQOに就いた近藤潤会長に狙いや取り組みの方針を聞いた。

 

「CQO」に就任したSUBARUの近藤潤会長

「CQO」に就任したSUBARUの近藤潤会長

 「スバルブランドとして、以前は機能的に走りが良ければいいと言うことだった。ただ、いまは加えて『安心と楽しさ』を提案している」

 スバルは17年4月、富士重工業から社名を変更した。「モノをつくる会社から笑顔を作る会社に」というメッセージが込められる。その起点は自動ブレーキで知られる運転支援システム「アイサイト」のヒット。安心の印象を植え付けた。

 「機能的な安全性を訴求しているが、1台でも不良品が混ざれば安全を担保できない。安全面で問題を起こせば他メーカー以上にブランドの毀損が大きいと想定する。品質を大事にする、とCQOとして社内外にメッセージを発信する。接客の質まで含める。企業の社会的責任(CSR)を含めて会社の品質を部門にとらわれず指揮・監督する立場だと考える」

 スバルは台数成長は順調だが、ようやく100万台を超えた規模。1千台~数百万台規模のトヨタ自動車日産自動車ホンダと比べ規模が小さい「中堅」の位置づけだ。収益源の地域や車種は大手と比べ多様性に欠き、イメージが悪化すれば影響は大きい。

 「部品メーカーからはいってくる部品は原則100%品質保証されている前提で組み付けられている。その大前提を疑ってみることも必要。完成車メーカーの不良か部品メーカーの不良か、それはお客さんにとっては関係ない」

 近藤会長は生産拠点が国内と米国にしかないことを強みとして情報の管理を効率化できるとみる。実際、部品メーカーが集積する群馬県内では部品メーカーとの連携を機動的に実施する考えだ。

 「部品メーカーがつくる製品の品質はかつては確認しにくかった。人工知能や(あらゆるモノがネットにつながる)IoTなど、従来の品質保証よりもさらにレベルの上がった手法が使える時代になった。これらを活用して生産履歴の追跡の精度が高められるとみる。検査データや材料データの共有などが可能だとみる」

 

スバルは4月に部署横断で品質管理の新組織を立ち上げた。開発、生産、品質保証など複数部門の担当者が会社全体の品質保証体制の具体的な強化策を検討する。部品メーカーとの関係では既に群馬の地元部品メーカーと検査データの共有について、実証を始めた。

 「化学的知識など含めて、大きな問題でどう顧客とリコール(回収・無償修理)対応するか。リコール対応は企業規模からして負担が大きい。社内一丸で対応している。いまの対応で十分かというとそうでもないと危機感を持っている」

 スバルは異常破裂問題を起こしたタカタ製エアバッグのリコールの未届け分に関連する費用813億円を18年3月期の特別損失に計上し、最終減益となる見通し。タカタ問題も教訓として、部品メーカーなど主要取引先を巻き込んだ品質管理体制の強化を急務とみる。

 自動運転技術や電気自動車(EV)などの環境対応、コネクテッドカー(つながる車)など車の構造が大きく変わろうとしている。技術的な変化が激しい中で、品質管理を徹底するには、効率を高めるIoTの活用を早急に進め、基盤を固める必要がありそうだ。

(企業報道部 湯沢維久)

[日経産業新聞 2017年9月12日付]

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