2018年10月22日(月)

先進の技術 実用段階 再生医療やAI、革新の扉

2017/9/13 2:00
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人工島のポートアイランドにある「神戸市立医療センター中央市民病院」で今春、目の難病患者を対象とした画期的な臨床研究が実施された。患者本人ではない他人から作って備蓄しておいたiPS細胞を使うという、これまで例のなかった移植手術だ。

理化学研究所などと協力し、失明を招く恐れがある「加齢黄斑変性」の患者に実施した。患者本人から作ったiPS細胞を使うのに比べて、費用を10分の1以下の数百万円程度に抑えられる。手術の準備期間も短く済む。同様の手術が広がれば、再生医療が患者の手に届きやすくなると期待される。

再生医療やロボット、人工知能(AI)などの先進技術を生かし、生活者の健康改善につながる新たな価値を生み出す試みが神戸で広がってきた。

中央市民病院の隣接地には12月、目の治療や研究、リハビリテーションを担う眼科専門施設「神戸アイセンター」が開業予定だ。ここでは産業技術総合研究所などが開発した人型双腕ロボット「まほろ」を導入。AIの技術と組み合わせ、iPS細胞の作製作業を効率化する研究を始める。

医療産業都市は神戸市が阪神大震災からの復興の中で、1998年に構想懇談会を発足させて人工島に整備した。進出企業・団体数が338(7月末)と国内最大級を誇る集積地に育ったものの、先端医療の事業化や発信については道半ばの状況にある。特区に指定されていることも生かし、企業と病院や研究所が機動的に連携できる仕組みをどう拡充するかが課題だ。

神戸大はメディカロイドの手術支援ロボット開発も支援する(神戸市)

神戸大はメディカロイドの手術支援ロボット開発も支援する(神戸市)

川崎重工業シスメックスが共同出資するメディカロイド(神戸市)は2019年度をメドに、手術支援ロボットを製品化する予定だ。3D画像を見ながらアームを操作する方式で、患者の腹部を切らず穴を開けるため、出血が少なく、患者の負担を抑えられるという。

神戸大学が今春に開業した「国際がん医療・研究センター」の外科医がロボットの試作品を評価し、改良につなげる。

メディカロイドは3月、産業用ロボット技術を活用した手術台を発売した。患者を透視画像の撮影や手術に適した位置に移動させることができる。将来、手術支援ロボの動きと合わせて、より正確で安全な手術を目指す。

神戸市内では、あらゆるモノがネットにつながるIoTをサービス向上や業務効率化に活用する試みも広がる。システム開発の神戸デジタル・ラボ(神戸市)では、スマートフォンやパソコンから個室トイレの空き状況を確認できるシステムなどが好評だ。

7月には交流サイト(SNS)などによる飲食店のイメージダウンを防ぐシステムを開発した。テーブル席のタブレットに「テーブルが汚れている」といった不満が寄せられると、店側に通知して迅速な対応につなげるという仕組みだ。神戸市内での実証実験を経て、17年度内の実用化を目指す。

航空関連の中小企業21社が集まった「神戸航空機クラスター」は、IoTで工場の稼働状況を共有する「つながる工場」を目指す。機械加工や熱処理などの各工程を一貫して請け負える体制を整備する。中小企業と発注者の間を製品が何度も行き来するといった「ノコギリ発注」をなくすのが目的だ。

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