2017年11月23日(木)

住宅ローンは太陽光の売電で返す

2017/9/12 6:30
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 住宅販売のミサワインターナショナル(東京・千代田、三沢千代治社長)は太陽光発電装置との一括販売プランを売り出した。住宅購入者は装置を買い、日射量を確保しやすい土地を全国の候補から選ぶ。都市部に家、山間部などに発電装置を持つことで、電力会社などに30年間売電しつづけてその収入の一部を住宅ローンに回せるという。

三沢千代治社長

三沢千代治社長

 ミサワインターナショナルは住宅ブランド「HABITA(ハビタ)」の購入検討者に、太陽光設備との併用プラン「太陽光と家」を提案する。プランでは、住宅を建てる場所と離れたところに発電装置を置くことになる。発電装置の土地選びから設置までエコスタイル(同、木下公貴社長)がサポートする。

 エコスタイルは全国の土地オーナーに、太陽光発電用の土地の売却を呼びかけてきた。同社が提案できる土地の候補は三重県や山梨県など全国に1500カ所ある。同社社員が日射量や送電可能かどうかを調べている。

 住宅購入者にとっては、自分の家の屋根に太陽光パネルを置いて売電する場合と比べ、日射量の多い場所を選べる利点がある。

 住宅購入者は地主や地元の電力会社と売電に向けた契約を結ぶ。エコスタイルは、家庭で使われる200ボルトの低電圧発電装置を置く。

 住宅購入者が資金を捻出できない場合、土地を借りる選択肢もある。設計や見積もりのプランを無料で作る。85キロワットを発電する設備は、工事費とメンテナンス費、土地代あわせて約2000万円かかる。

 国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度では、10キロワット以上発電する設備の2017年度の買い取り価格は、1キロワットあたり税込み22.68円。安定した日射量が見込めるという津市の郊外に発電装置を設置した場合、月約17万円の売電収入を得られる。

 買い取り制度の認可を得てから20年間は、国が決まった価格で電力を購入する。それ以後の10年間はエコスタイルが電力を買い取る。

 ミサワインターナショナルは、発電設備を買う初期投資費の月額返済を差し引いても、住宅ローンの返済に回せる資金ができると説明している。併用プランは日射時間が著しく短かった場合に保証金を払う制度や、自然災害による損失を補償する制度を備えている。

 ミサワインターナショナルが現在建設している分譲住宅地でも、太陽光発電装置を併設して新たなまちづくりを提案する予定という。同社は原価が安く発電効率のいい太陽光パネルを開発するメーカーとも取引を進めている。

 エコスタイルは14年の1年間に太陽光発電装置を6000基設置した実績がある。家を建てる場所と離れたところに売電用設備を置くビジネスでは、ミサワインターナショナルが住宅メーカーとして初めて協力する相手になる。同社は21年3月までに1000棟の受注を目指す。

■三沢社長に聞く「設備の性能 信頼できる」

 ミサワインターナショナルは2004年に創業し、構造を長く保てる戸建て住宅を提供してきた。ミサワホーム創業者でもある三沢千代治社長(79)に新プラン発売の経緯を聞いた。

 ――住宅は価格が上がって手の届きにくいものになっていないでしょうか。

 「本来は幸せのうつわになるマイホームが、値上がりで苦労のもとになっている現状に私も疑問を抱いていた。孫が3人いるが、息子夫婦は住宅ローンの返済によって学校の授業料や留学にかかる費用を捻出するにも大変そうにしている。住宅の質に関わる建設費用を下げずに負担を減らす方法を考えていた」

 ――新プランを売り出そうと思ったきっかけは。

 「私はミサワホームで約50年前、国の要請を受けて南極昭和基地における越冬隊の居住棟太陽光発電を手がけた。その装置はいまも稼働している。太陽光の発電設備の効率がどれくらい維持されるかについて議論はあるが、私は今の装置なら20年間は効率を保てると確信している」

 「2年前にエコスタイルの木下公貴社長と話し、当社と同じく地球環境に配慮した事業展開をしていると確信し、短期間で提携が決まった」

 ――今後の展開は。

 「住宅購入者は新プランで太陽光の発電設備を買うことによって、都会に家を建てて、離れた田舎で売電収入を得てローンに充てることが可能になった。ビジネスはまた別の方向にも進むかもしれない。いま都市に住んでいる人が田舎暮らしにあこがれ、実際に移り住むことが増えるだろう。太陽光発電を併設した住宅を提供し、ひとつの街を作っていきたいと考えている」

(企業報道部 高木雄一郎)

[日経産業新聞9月12日付]

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