2017年12月17日(日)

「真の緑色」、ペロブスカイトLEDで スイスの大学

BP速報
2017/9/12 6:00
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日経テクノロジーオンライン

 スイスの大学ETH Zurichは、同大学の研究者が、純度が非常に高い緑色発光をペロブスカイトLEDで実現したと発表した。現状ではまだ発光寿命が短いが、将来的には、ITU-R Recommendation(国際電気通信連合 無線通信部門 勧告) BT.2020で定義されているディスプレーの広色域を実現する、レーザー光以外では初めての選択肢になる可能性がある。

開発したペロブスカイトLEDの発光の様子(写真:ETH Zurich)

開発したペロブスカイトLEDの発光の様子(写真:ETH Zurich)

 このペロブスカイトLEDを開発したのは、ETH Zurich Professor of Chemical EngineeringのChih-Jen Shih氏の研究室。このLEDの素子構造は、透明電極のITOフィルムの上にホール注入層としてPEDOT:PSS、ホール輸送層としてポリトリフェニルアミン誘導体(TPD)、発光層としてFAPbBr3、電子輸送層として3TPyMB(tris(2,4,6-trimethyl-3-(pyridine-3-yl)phenyl)borane)、電子注入層としてLiF、電極にAlとなる。発光層は4.8nm厚と非常に薄い。

素子の様子(写真:ETH Zurich)

素子の様子(写真:ETH Zurich)

 採用した製造プロセスはスピンコート法。室温プロセスでしかも、30分しかかからない。LEDは折り曲げ可能で、曲率半径2mmで曲げられるとする。

 発光色の色座標はCIE 1931色度図で(0.168、0.773)。BT.2020のRGBの領域のわずかに内側にあるといえる。BT.2020比はCIE 1931色度図に対して97%、CIE 1976色度図に対しては99%という。

 三菱電機とNHK技研が2015年に開発したRGBレーザーバックライト型の液晶ディスプレーではCIE 1976色度図でBT.2020比 98%を実現。パナソニックも2016年1月に、「2016 International CES」でやはりBT.2020比 98%のレーザーバックライト型の液晶ディスプレーを発表している。

 一方、レーザー光以外では、BT.2020の色域の実現技術が大きな課題になっている。シャープが製品として2017年末に発売する予定の8Kテレビ「LC-70X500」の色域は、緑色の純度が低く、CIE 1976色度図のカバー率はBT.2020比で約86%。パナソニックも、「BT.2020で勧告された超広色域の実現は、現在のところレーザー光源を用いた液晶ディスプレーしか解がありません」(同社)としている。

■発光寿命には大幅改善が必要

 今回のペロブスカイトLEDは、将来的にはレーザー光以外の光源として選択肢になりそうだ。ロール・ツー・ロールかつ室温プロセスで製造できる見込みであることも大きな強みになる。

 ただし、現時点では、外部量子効率(EQE)は3%と低く、発光寿命は2時間ほどと非常に短い。現在のテレビのバックライト用光源のEQEは5~10%、発光寿命は数年と長く、ペロブスカイトLEDとの差は大きい。

 ETH ZurichのShih氏は、「ペロブスカイトLEDの次世代版のEQEは6~7%を見込んでいる」という。最近のペロブスカイト太陽電池では、寿命は大幅に伸びて、数年~10年を実現できる見通しも出てきている。LEDでも、2時間と数年という数字の差ほどには、ハードルは高くないかもしれない。

(日経テクノロジーオンライン 野澤哲生)

[日経テクノロジーオンライン 2017年9月11日掲載]

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