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断面積計算、重さ均一 吉泉産業のスライサー(ここに技あり)
大阪府枚方市

2017/9/11 17:00
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■1時間に2800切れ

 直径約35センチメートルの大きな丸い刃が静かに回り始めると、サケが均等なサイズの切り身になってベルトコンベヤーの上を流れてくる。大阪府枚方市の食品加工機器メーカー、吉泉産業の本社。このスライサーがカットするペースは、1時間に約2800切れだ。大手コンビニエンスストアの焼サケの製造に使われている。

 スライサーは魚から肉、野菜に至るまで、あらゆる食材に対応する。現場の「経験と勘を排除する」ことを目指し、職人や人手不足に悩む顧客をつかんできた。コンビニの総菜製造以外にも食品加工メーカーなどを販路とし、業務用の国内シェアは3割強を誇る。

 冒頭のスライサーはサケの断面を1カットごとにカメラで撮影する。断面積からカットすべき身幅を瞬時に計算する。サケ全体を上から見た画像を基に割り出す一般的な手法より、重さが均一にそろう。角度が変わる丸い刃は「出刃包丁を使った職人の引き切りを再現した」(佐々木啓輔設計技術本部長)。

魚の切り身用スライサーの内部。丸刃でサケが均等にスライスされていく
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魚の切り身用スライサーの内部。丸刃でサケが均等にスライスされていく

 初号機の発売は1993年。その後、現在5号機まで断続的に開発し、約10年をかけ現在の形に至った。本社には研究開発と製造工場も併設している。部品の大半を自社製造しており、板金による手作りの試作品で新製品の開発が進む。「もう少し角度をつけよう」。野菜洗浄機の開発では大量の水を流し、数人の開発メンバーが試行錯誤を重ねていた。

■手入れしやすく

 生産効率を高めたいユーザーにとって機器の清掃は減らしたい時間だ。細かい部品を減らし、手入れのしやすさを実現したのも特長だ。国内工場でパストラミビーフなど不定形なもののスライスに活用する伊藤ハム米久ホールディングスの製造部門担当者は「小回りが利き、使い勝手がいい。分解可能で清掃がしやすい点もいい」と評価する。

 もともとなぎ刃と呼ばれる刃物などの焼き入れをしていた創業者の佐々木広積氏が「ネギを切る機械が欲しい」といううどん屋の要望を聞き、食品加工の歴史は始まった。「お客さんに『ここまででごめんなさい』ということはしたくない」(佐々木本部長)と、顧客本位を貫き続ける。

文 大阪経済部 大沢薫

写真 淡嶋健人

〈カメラマンひとこと〉 撮影用にスライスできるサケは20匹。同じ大きさの切り身が一直線に並ぶ様子を写したいが、微妙にずれてしまう。「もう1匹」と撮り続けるうちに残り少なくなってきた。思い通りに並んでくれるだろうか――。ドキドキしながらシャッターチャンスを待った。

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